建武 (冠位)

建武（けんむ）とは

建武は、7世紀中頃の日本で用いられた冠位の一つです。具体的には、大化3年（647年）に制定された七色十三階冠において設けられ、翌年の大化4年（648年）4月1日から施行されました。この冠位は、13階の中で最も低い位に位置し、小黒の下に相当します。

建武の特徴

建武の冠は黒絹で作られ、紺色の縁取りが施されていました。他の冠位と異なり、建武の冠には鈿（でん、金属製の飾り）が付けられなかった点が特徴です。

『日本書紀』には、建武が初位または立身とも呼ばれていたという注釈がありますが、これらは後の冠位・位階制度における最下位を指す名称であり、当時の別称である可能性は低いと考えられています。

短命に終わった冠位

建武の冠位は、大化5年（649年）2月に冠位十九階が導入されると同時に、立身と改称されました。そのため、わずか1年程度の短い期間しか存在しませんでした。この短期間のため、建武の冠位を実際に授与された人物は、確実には特定されていません。

記録に残る人物

『日本書紀』には、斉明天皇4年（658年）7月4日に渟代郡の少領である宇婆左（うばさ）に建武の位が授けられたという記述があります。しかし、これは建武の冠位が廃止された後の出来事であるため、実際に授与されたのは改称後の立身であったと考えられています。

まとめ

建武は、日本の古代における冠位制度の一端を示すものであり、その短命さから制度の変遷を考察する上で重要な事例です。建武の存在は、当時の社会制度や政治状況を理解する上で貴重な手がかりとなります。

関連事項

* 冠位・位階制度の変遷: 建武が制定された七色十三階冠から、冠位十九階への移行は、古代日本の制度改革における重要な転換点です。

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