建畠大夢

建畠 大夢の生涯と業績

建畠大夢（たてはたたいむ）は1880年2月29日、和歌山県の有田郡に生まれました。豪農の家庭に育った彼は、4人兄弟の末っ子として日々を過ごしました。彼の父、建畠喜助は大庄屋としての地位を持ち、実業の面でも成功を収めた人物です。大夢は、後に彼の芸術的な才能が開花する基礎となる教育を受けました。彼はまず野上尋常高等小学校を卒業すると、その後父の意向で大阪医学校に入学しましたが、医師になることには魅力を感じませんでした。

医学校を辞めた大夢は、美術の道を選ぶことに決め、叔父の紹介で京都市立美術工芸学校に転校しました。そして1907年には東京美術学校の彫刻科に編入し、白井雨山に師事しながら技術を磨いていきました。在学中も彼の才能は光り、文部省美術展覧会への出品を重ね、「閑静」や「ながれ」などの作品で三等賞を受賞するなど、早くから名声を高めていきました。1911年には東京美術学校を卒業。

その後の彼のキャリアは、芸術界での活動に勢いを増しました。1919年には帝国美術展覧会の審査員に任命され、同郷の芸術家たちとともに南紀美術会を結成します。1920年には東京美術学校の教授に就任し、教育者としての活動も始まりました。そして1921年には曠原社を立ち上げ、さらに1927年には新設された帝国美術院の会員となるなど、組織に関わることも多くなりました。

大夢の代表的な作品としては、1937年に製作した伊藤博文の銅像が挙げられます。これは国会議事堂の中央広間に設置され、彼の名声をさらに高める一因となりました。大夢はまた、1940年に自身の研究所を拡大し、直土会を組織して多くの門下生を育成しました。これは彼の教育者としての志の表れであり、彼の作品と言えるでしょう。

しかし、彼の生涯は1942年3月22日に心臓病により63歳で幕を閉じました。彼の遺族にも彫刻家や建築家など多くの才能ある子どもたちがいて、建畠家はその後も芸術の血脈を受け継いでいます。特に長男の建畠覚造や次男の建畠嘉門は、各々の分野でその名を知られる存在となりました。

代表作品

• - 伊藤博文立像（1938年、国会議事堂１階中央広間）

建畠大夢の作品や生涯は、彼自身の努力や才能だけでなく、家族や教育の恩恵にも恵まれたものでした。彼の業績は日本の彫刻界において重要な位置を占めており、後の世代に多大な影響を与え続けています。

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