弁天島 (福山市)

弁天島（べんてんじま）

弁天島は、広島県福山市にある鞆の浦の沖合、瀬戸内海に位置する小さな島です。この島は、毎年5月に開催される「鞆の浦弁天島花火大会」で知られており、初夏の到来を告げる人気のイベントです。この花火大会は、地域住民や観光客にとって特別な体験となっており、島の美しい景観とともに楽しむことができます。

地理的特徴

鞆の浦は、瀬戸内海の中心に位置し、潮の流れや干潮と満潮に影響を受ける場所にあります。このため、古くから船舶の往来が盛んで、海上交通の要所として利用されてきました。弁天島は、鞆港から約300メートル離れた沖合に位置し、仙酔[[島]]へ向かう船から眺めることができます。

百貫島の由来

弁天島は、以前は「百貫島」として知られていました。その名は、鎌倉時代の石塔伝承に由来しています。伝説によると、近江の武士藤原正道が厳島神社を訪れた帰りに、島に立ち寄って父祖の太刀を海に落としてしまいました。彼は漁師にその刀を拾ってくれるよう依頼しましたが、漁師たちはサメを恐れて断りました。しかし、名誉を守るために一人の若い漁師が海に飛び込み、見事に刀を拾い上げたものの、サメに襲われてしまいます。正道はその漁師を供養するために石塔を建立しました。

今日、島にある百貫島に関連する石塔は、文永8年（1271年）に建立され、広島県の重要文化財に指定されています。現在残っている九層の石塔は約3.7メートルの高さを誇り、この歴史的な遺産は観光客にとっても魅力の一つです。

弁天堂

島内には、航海の守護神である弁財天を祀る福寿堂が存在します。この堂宇は、備後福山藩の家臣で初代の鞆奉行であった荻野重富によって再建されました。正保元年（1644年）に築かれたとされ、朱色の社殿が特徴的です。近年は夜間のライトアップも行われ、夜の訪問者にとって幻想的な雰囲気を醸し出しています。

アクセスと周辺情報

弁天島へのアクセスは、JR福山駅から鞆鉄バスを利用し、約30分で終点に到着します。そこからは徒歩で5分ほどで対岸に到達できますが、弁天島への渡船は運行していないため、注意が必要です。周辺には福禅寺や円福寺といった歴史的な寺院が点在し、地域の文化を味わうことができます。

弁天島は自然と歴史が融合した魅力的な場所であり、訪れる者に深い感動を与えています。

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