弁天座 (大和高田市)

弁天座：大和高田の劇場の歴史を彩る軌跡

奈良県大和高田市に位置する大衆演劇場「弁天座」は、実に100年以上にわたる歴史を刻んできた劇場です。その歴史は、映画館として始まり、大衆演劇場として発展し、閉館と再開劇というドラマチックな転換を遂げました。本稿では、弁天座の変遷を詳細に見ていきましょう。

明治・大正・昭和期の興亡：花月劇場から高田シネマへ

弁天座の物語は、1910年（明治43年）、池端庄太郎、中川八太郎、宮崎亀石の3名によって設立された「弁天座」に始まります。その後、花月座と改称し、大阪の吉本興業と契約を結びました。1940年（昭和15年）には建物を新築し、花月劇場として生まれ変わります。戦後、映画館へ転換し、東宝系映画館「高田花月東宝劇場」として長く愛されましたが、1970年（昭和45年）に閉館しました。

1950年（昭和25年）、日活専門映画館「高田キネマ」が開館します。800席を誇るその劇場は、大和高田市の映画ブームを象徴する存在でした。その後、「高田シネマ」と改称し、2スクリーン体制へと移行しますが、シネコンの台頭により、2004年（平成16年）に閉幕を迎えました。

新たな幕開け：大衆演劇場「弁天座」の時代

2005年（平成17年）、高田シネマ跡地を改装し、大衆演劇場「弁天座」がオープンします。経営者は、かつて高田シネマを運営していた宮崎昌明氏。その曽祖父が経営していた初代「弁天座」にちなみ、劇場の名は引き継がれました。

10年以上続く黒字経営は、地域文化に貢献する劇場として高い評価を得ていました。しかし、2020年からの新型コロナウイルス感染症流行による高齢者客の減少、そして売り上げの激減は、劇場経営に大きな打撃を与えました。2023年（令和5年）9月29日、18年半の歴史に幕を閉じました。

羅い舞座グループによる再生：新たな一歩

閉館から間もなく、羅い舞座グループが弁天座の経営を引き継ぐことが発表されました。設備の改修を経て、2024年（令和6年）1月、「羅い舞座グループ　弁天座」として再オープンしました。新たな体制の下、大和高田市の文化を支える劇場として、その歩みを続けようとしています。

アクセスと閉館までの歴史

弁天座へのアクセスは非常に良好です。近鉄大阪線大和高田駅から徒歩2分、JR桜井線高田駅から徒歩5分と、公共交通機関を利用して容易にアクセスできます。

弁天座の長い歴史は、日本の大衆文化、そして大和高田市の人々の生活と深く結びついています。映画館から大衆演劇場への変遷、そして閉館と再開劇という物語は、地域の文化を守る大切さを改めて私たちに問いかけるものです。 今後、羅い舞座グループによる運営の下、新たな魅力を備えた「弁天座」が、地域の人々を魅了し続けることを期待します。

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