引田ひなまつり

引田ひなまつり：歴史と伝統が息づく春の祭典

香川県東かがわ市引田の旧市街地では、毎年2月末から3月3日にかけて、地域をあげて盛大に「引田ひなまつり」が開催されます。この祭りは、古くから引田に伝わる独特のひな飾り文化と、それを現代に蘇らせようとする地域住民の熱意が織りなす、心温まる春のイベントです。

由緒ある引田雛と、かつての風習

引田では古くから、女児の誕生を祝う初節句に、地域独特のひな飾りである「引田雛」を親族や近所の人々に披露する風習がありました。引田雛は、御殿に内裏雛を飾り、雛壇の横に市松人形を配するのが特徴です。子どもたちは近所を回り、菓子を貰うなど、地域全体で節句を祝う賑やかな光景が広がっていました。

雛人形の準備は母親の実家が担うのがしきたりでしたが、各家庭は豪華な雛飾りを競うように飾り付けるため、経済的な負担も大きかったと言われています。そのため、江戸時代以前から「引田には嫁にやるな」という諺が伝わるほどでした。華美な飾り付けは昭和の終わり頃には自治会の申し合わせで自粛されるまでに至りました。

町おこしから始まった現代のひなまつり

かつての賑やかさを復活させようと、「引田まち並み保存会」を中心に、有志らが中心となり、2003年（平成15年）に第1回引田ひなまつりが開催されました。町並みを彩る雛人形は、江戸時代から現代までの幅広い時代と様式を反映した多様なコレクションです。地元の保育園児が制作した雛人形なども飾られ、地域全体で祭りを作っていく姿が見られます。2009年（平成21年）には約90軒が参加するまでに発展しました。

ひな人形だけではない、多彩なイベント

ひな人形だけでなく、かつて小正月の供え物として飾られていた「もち花」（柳もち飾り）や、造花の菜の花・椿を竹筒に入れた飾りなども町並みを彩ります。祭り期間中には、市松人形行列、ひな人形行列、だんじり子ども歌舞伎などのイベントも開催され、見て、聞いて、楽しめる内容となっています。

アクセスも良好

JR四国の特急列車「うずしお」は通常、引田駅を通過することが多いですが、ひなまつり期間中は一部の列車が臨時停車します。電車でのアクセスも容易になり、多くの人がこの祭りを訪れることが可能となっています。

まとめ

引田ひなまつりは、単なるひな祭りのイベントにとどまらず、歴史と伝統、そして地域住民の温かい心意気が凝縮された、貴重な文化体験の場となっています。豪華なひな飾り、多彩なイベント、そして良好なアクセスと、魅力満載の引田ひなまつりに、ぜひ足を運んでみてください。

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