弘元

弘元の生涯と業績

弘元（こうげん、1756年 - 1842年）は、江戸時代中期に活躍した真言宗の僧侶であり、但馬の弘法大師とも称されています。彼は、但馬満福寺の第50世および第52世住職を務め、その卓越した学識と徳により、多くの人々から尊敬を集めました。彼の俗姓は結城氏で、字は義超といいます。

幼少期と満福寺での修行

弘元は、但馬国城崎郡の裕福な家庭に生まれました。幼少のころから、名刹である満福寺に入山し、僧名を弘元としました。彼が天明元年（1781年）に24歳で高野山へ移り、厳しい修行と学問に励んだことは、彼の後の活躍に大きな影響を与えました。寛政7年3月26日（1795年5月14日）、中流院からの伝授を受け、満福寺の第50世として住職となりましたが、弘元はさらなる求道の道を求め、一度、その地位を弘仁上人に譲りました。

その後、彼は石和庄亀岡山松尾寺で、阿闍梨律師・等空ら21人に中流院の教えを授けることに尽力しました。しかし、弘仁上人の早逝により、彼は再度、満福寺の第52世住職として戻ることとなりました。この時期には『史記評林』を購入し、教えを広めるため子弟に熱心に講義を行いました。

高野山西塔の再建

弘元の業績の一つに、高野山西塔の再建があります。寛永7年（1630年）、西塔は落雷によって壊滅的な被害を受けました。そのため、長年再建が進まない中、弘元は再建に尽力しました。彼は正智院の覚道と共に、幕府に再建を願い出て、公許を得るために奔走しました。彼の努力のおかげで、満福寺は高野山から「永代上人」として名乗ることを許され、その名は歴史に刻まれました。この西塔の再建は、次世代の乗如が引き継ぎ、約20年後の天保5年（1834年）にようやく完成を見ました。

晩年と遷化

晩年の弘元は、満福寺を真言道場としてさらに評価されるようになり、文政3年に「御遺告」の伝授を受けました。彼は晩年に別名「弘憲」と名乗り、さらなる智慧を追求しましたが、天保13年（1842年）に87歳で遷化しました。彼の墓は満福寺の歴代住職の塋域に位置しています。

養父神社別当寺の住職

江戸時代には神仏習合が進んでいたため、弘元は養父神社の別当寺である普賢寺の第12世住職にも就任しました。このように彼は、宗教界での地位を確立し、多くの信者から支持を受けていました。

弘元の弟子とその影響

弘元は学徳を兼ね備えた指導者として、21人の直弟子を持ちました。弟子の中には、弘誓（長楽寺住職）や弘潤（常楽院住職）、弘天（遠林寺住職）など、後に名を馳せる僧侶たちが含まれています。彼らは弘元の教えを受け継ぎ、各地で真言宗の発展に寄与しました。

弘元の影響は後世まで及び、越えた時代においてもその教えは多くの人々に尊敬されています。彼の生涯を通しての功績は、但馬地域の文化や宗教の発展に大きな役割を果たし、真言宗の偉大な僧侶の一人として後世に名を残しています。

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