張泰堉

張 泰堉（チャン・テユ、1989年10月10日生まれ）は、日本出身の元ラグビー選手である。彼は主にフォワード第1列の一角、プロップ（PR）としてプレーした。大阪府で生まれ育ち、そのキャリアも同地で始まった。身長は182cm、体重は112kgという強靭な体格を持ち、ラグビーの最前線で戦うプロップに適した肉体を備えていた。プロップはスクラムにおいて相手フォワードと直接組み合い、チームに安定と推進力をもたらすポジションであり、同時にフィールドプレーにおいても近場でのボールキャリーやタックルで重要な役割を担う。張氏の体格は、このポジションに求められる力強さと安定性を十分に備えていたと言える。チームメイトやファンからは「てっちゃん」のニックネームで親しまれた。

張氏のラグビー人生は、大阪朝鮮高校で本格的に形作られた。厳しい練習を通じて基礎技術とフィジカルを磨いた後、彼は関西地方の有力校である関西学院大学へと進学した。関西大学ラグビーAリーグに所属する関西学院大学ラグビー部でプレー経験を積む中で、彼は学生トップレベルのラグビーを経験し、自身のスキルとゲーム理解を深めていった。大学での活動は、プロキャリアへと繋がる重要なステップとなった。

大学卒業後、2013年に張泰堉氏はジャパンラグビートップリーグに所属するNTTドコモレッドハリケーンズ（現在のレッドハリケーンズ大阪）に加入し、プロラグビー選手としての第一歩を踏み出した。日本の最高峰リーグであるトップリーグは、国内外のトップ選手が集まる競争の激しい舞台である。張氏はプロップとして、このレベルで通用する強さ、技術、そしてメンタルを証明する必要があった。

チーム加入から間もない2013年9月28日、彼は記念すべきジャパンラグビートップリーグ公式戦デビューを果たした。この試合は1stステージの第4節にあたるNECグリーンロケッツ戦で、張氏は途中からの出場ながら、日本のトップレベルの舞台で自身の能力を試す機会を得た。これは彼のプロキャリアにおける重要な節目となった出来事であり、ここから彼のトップリーガーとしての経験が始まった。

ラグビー選手としての更なる高みを目指し、張氏は2017年にラグビー強豪国として知られるニュージーランドへの留学を決断した。世界トップレベルの環境でトレーニングを行い、現地のラグビー文化や戦術に触れることは、選手として大きな成長をもたらす。この海外での武者修行は、彼のラグビーに対する理解を深め、技術を向上させる貴重な経験となったと考えられる。

ニュージーランドでの学びを終え帰国した後、彼は再び日本のラグビー界で活動を続けた。しかし、2018年をもって、張泰堉氏は長らく所属したNTTドコモレッドハリケーンズを退団する選択をした。チームでの数年間、彼はプロップとして献身的にプレーし、チームに貢献した。彼のキャリアは、大阪での学生時代から始まり、NTTドコモレッドハリケーンズでのプロ選手としての活動、そしてニュージーランドでの海外経験と、多様なステージを経て形成された。

プロップとして最前線で体を張り、「てっちゃん」の愛称で親しまれた彼のプレーは、ファンやチームメイトの記憶に刻まれている。強靭なフィジカルと粘り強いプレーでチームを支えた張泰堉氏のラグビー人生は、多くの経験と学びを経て構築されたものであると言える。

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