張燕卿

張 燕卿

張 燕卿（ちょう えんけい、1898年 - 1969年）は、中華民国及び満州国で重要な役割を果たした政治家である。彼の父である張之洞も清末の著名な政治家として知られ、その影響を受けた家族は、兄弟姉妹や甥姪も政治活動に従事している。

張燕卿は青島特別高等学校を修了後、日本に留学し、1920年には学習院文科を卒業した。政治に対する興味と情熱を抱きながら、彼のキャリアは迅速に発展していく。1922年には奉天省復県（現在の瓦房店市）の知事に就任し、その後も直隷省のいくつかの役職を歴任した。天津県知事や、特別区市政管理局局長、直隷省警察庁の庁長など、さまざまなポジションでその実力を発揮した。

1931年、長春市政籌備処の処長や吉林省実業庁の庁長などを務める中で、彼は満州国の建国に参加することになる。1932年2月の建国最高会議において、張は熙洽の代理として出席し、帝制の採用を強く支持した。この時、立憲共和制を提唱する臧式毅や張景恵と対立し、彼の政治的立場が顕著に現れる。

満州国の正式成立の翌日、張は執政府内務官そして実業部の総長に任命され、その後、大臣としての役割を果たした。1935年には外交部大臣に就任し、重要な外交業務に携わった。しかし1945年には、戦後の混乱の中、軍事委員会調査統計局に逮捕され、一時的に無罪となるものの、国民政府の再調査を受け、再び拘束されてしまう。

その後、1950年に脱獄した張は台湾や香港を経て、日本に亡命。頭山満の側近である南部圭助に庇護され、亜東工商協会を設立し、幹事としての活動を展開した。彼の政治的キャリアは波乱に富んでおり、特に満州国での経験は彼を歴史に名を残す存在にした。

張の活動は、満州国の政治的背景や戦後の動乱に影響を及ぼした。彼は1945年から1949年にかけての中華民国臨時政府下での活動も行い、その後新民会の創設にも関与している。彼の功績と問題もあり、彼のキャリアは一つの時代を象徴するものとして評価される。

1969年、張燕卿は東京都で生涯を終え、72年の人生を閉じた。彼の存在は、政治家としての彼自身だけでなく、家族に受け継がれた影響と共に、近代中国の歩みにおいて忘れてはならない人物の一人である。

もう一度検索