張高麗

張高麗の生涯と政治キャリア

張高麗（ちょう こうれい、ジャン・ガオリー）は、1946年11月1日に中国で生まれました。彼は貧しい農家の出身で、幼少期に父親を亡くし、母親と兄の助けを借りて学業を続けました。1965年に厦門大学経済学部に入学し、1970年に卒業。文化大革命の混乱期の中、石油工業部の労働者としてキャリアをスタートさせました。

石油産業から地方へ

石油工業部でのキャリアでは、広東省茂名石油工業公司で様々な役職を歴任しました。労働者から始まり、共産主義青年団の幹部、党の書記などを経験し、1973年には中国共産党に入党。1980年には、石油工業部茂名石油工業公司の副総経理にまで昇進しました。1984年、広東省茂名市党委副書記に任命され、地方政治の世界へ足を踏み入れます。同時に中国石化総公司茂名石油工業公司総経理（社長）にも就任。

省の要職を経て党の中央へ

1985年には広東省経済委員会主任に任命され、官僚としての道を本格的に歩み始めます。1988年から1998年まで広東省副省長を務め、1990年には中央党校で研修を受けました。その後、広東省計画委員会主任も兼任。1997年には広東省深圳市の市党委書記に任命され、改革開放の最前線で活躍しました。この時期、習仲勲元国務院副総理やその息子である習近平（後の党総書記）と親交を深めます。

2001年に山東省党委副書記に転出し、翌年には山東省省長に就任。2002年の第16回党大会で党中央委員に昇格し、山東省党委書記となりました。彼は、山東省を広東省に次ぐ経済大省に発展させた功績があります。

天津市党委書記、そして最高指導部へ

2007年、張高麗は天津市党委書記に転任。同年の第17回党大会で党中央政治局委員に選出され、党中央の要職を担うことになりました。天津市党委書記在任中は、同市の1人あたりGDPを国内トップに引き上げるなど、経済発展に大きく貢献しました。

彼は江沢民（元国家主席）からの信頼も厚く、曽慶紅や周永康といった「石油閥」の有力者たちと関係が深かったため、当時の最高指導者である胡錦濤とは政治的に対立する派閥に属していました。一時、薄熙来の政治手法に倣った動きを見せましたが、薄熙来の失脚後は、胡錦濤に忠誠を誓い、政治的なバランス感覚を発揮しました。

2012年の第18期1中全会で習近平・李克強指導部が発足すると、張高麗は党中央政治局常務委員に選出され、最高指導部入りを果たします。2013年には国務院副総理に就任。2018年に引退するまで、中国の政治・経済の中枢で活躍しました。

彭帥による性的関係強要告発と騒動

2021年11月、女子テニス選手の彭帥が、張高麗から性的関係を強要されたとSNSで告発しました。この告発は中国のネット検閲当局によって即座に削除され、彭帥は一時消息不明となりました。この事件は国際的な注目を集め、#WhereIsPengShuai のハッシュタグが拡散され、女子テニス協会（WTA）が調査を要求するなど、大きな騒動に発展しました。

その後、彭帥は公の場に姿を現し、性的暴行の事実を否定しましたが、この報道に対しては懐疑的な意見も多く、真相は不明のままです。このスキャンダルは、張高麗の政治的キャリアに大きな影を落としました。

まとめ

張高麗は、貧しい農家出身から中国共産党の要職に上り詰めた人物です。石油産業での経験を経て地方官僚となり、その後党中央で要職を歴任。経済発展に貢献する一方で、晩年には性的スキャンダルで世間を騒がせました。彼の生涯は、中国現代政治の複雑さと変化を象徴するものと言えるでしょう。

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