弾き語りばったり

弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば

『弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば』は、日本のアーティスト、KANが2016年にリリースしたライブ録音盤です。これは、KANがライフワークとして続けている「弾き語りばったり」と銘打たれたライブシリーズの中から収録されたもので、彼のライブアルバムとしては2作目にあたります。このアルバムでは、KAN自身によるピアノ演奏と歌唱のみという、シンプルながらも彼の音楽性をストレートに感じられる形式で楽曲が披露されています。

このアルバムの特筆すべき点は、その収録曲の多様性です。長年の活動で生まれた自身のヒットナンバーやファンに愛される楽曲はもちろんのこと、他のアーティストへ提供した楽曲を自身の声で改めて歌唱したセルフカバー、さらには彼が影響を受けたであろう洋楽のカバーも含まれています。これにより、リスナーはKANという音楽家が持つ幅広い音楽的背景と、弾き語りというスタイルで再構築された楽曲の新たな魅力を発見することができます。ライブならではの息遣いや、MCを彷彿とさせるような楽曲間の繋がりも感じられるかもしれません。

収録されている楽曲は以下の15曲です。

世界でいちばん好きな人
カレーライス
GOOD NIGHT
桜ナイトフィーバー
ひざまくら ～うれしい こりゃいい やわらかい～
Laura
MAN
アイ
安息
よければ一緒に
愛は勝つ
東京ライフ
まゆみ
今年もこうして二人でクリスマスを祝う
* 君が好き 胸が痛い

これらの楽曲のうち、特記されているもの以外は、KAN自身が作詞、作曲、そして編曲を手がけています。しかし、注目すべき例外もいくつか存在します。「Laura」は、アメリカのシンガーソングライター、ビリー・ジョエルの楽曲であり、KANによるカバーバージョンが収録されています。また、「アイ」は、秦基博に提供されヒットした楽曲で、作詞・作曲は秦基博が行っています。そして、「安息」は、Mr.Childrenの桜井和寿が作詞を担当し、KANが作曲・編曲を手がけた楽曲です。このように、他アーティストとの交流やリスペクトが垣間見える点も、このアルバムの魅力の一つと言えるでしょう。

全体として、『弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば』は、KANのライブパフォーマンスの真髄である「弾き語り」の魅力を存分に味わえる作品です。研ぎ澄まされたピアノテクニックと表現力豊かなボーカルが織りなすサウンドは、彼の音楽世界を深く理解するための貴重な一枚と言えます。彼のファンはもちろんのこと、シンガーソングライターによる弾き語り音楽に興味があるリスナーにも推薦できるアルバムです。

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