当確師

当確師

『当確師』（とうかくし）は、真山仁が執筆した小説で、初版は2015年に発表されました。この作品は、混沌とした選挙の舞台裏を描いており、選挙コンサルタントとしての聖達磨（ひじり たつま）が主役です。彼の当選確率は驚異の99%。その能力から「当確師」との異名を持ち、選挙戦における策略や心理戦が繰り広げられます。

物語は、聖が旧知の衆議院議員・大國克人から依頼を受けるところから始まります。静岡県高天市での市長選挙で、現職市長の鏑木次郎の再選を阻止してほしいというのです。数年前に彼の選挙を手伝った聖は、鏑木の手法に失望していたため、今回の依頼には不安を覚えます。しかし、仕事柄彼はこの挑戦を引き受けることを決意します。

鏑木次郎は元検事であり、過去には不正を暴き高天市長選で名を馳せました。革新的な市政を運営し、高天市を発展させる一方で、彼は選挙戦術にも厳しい手を使っており、過去の手法を知る聖にとっては決して甘くない相手です。大國から渡された対立候補のリストから、聖は市内で保育園を経営する黒松幸子に目をつけます。しかし、彼女は鏑木の妻と親友であり、擁立の可能性は極めて低いとの見解が浮かび上がります。

聖はこの問題を解決するための巧妙な戦略を考え出し、彼女が市長候補となるための背景を整えていきます。幸子は自身の過去を抱えながらも、市長職に挑戦する準備を整え、それが公開討論の場へと繋がっていきます。しかし、この間も鏑木陣営は異なる動きを見せ、聖との対立が深まっていくのです。

選挙戦を巡る物語は深く、緊迫した駆け引きが続きます。聖は公職選挙法をふまえた巧妙な策略を用い、敵陣営を混乱に陥れながら、次第に自身の立場を固めていきます。 さまざまな人間関係や利害の中で、聖は本当に信じられる選挙を目指し、努力を続けます。

このように『当確師』は、選挙の緊張感と人間ドラマを巧みに織り交ぜた作品です。2020年にドラマ化され、香川照之が主役としてその役に挑みました。深いテーマ性とキャラクターの描写が高く評価され、多くの視聴者に支持されています。さまざまな駆け引きや心理戦が繰り広げられるこの小説は、単なる選挙物語を超えて、人間の本質や欲望、信念に迫る内容となっています。

小説の人気を受け、続編として『当確師 十二歳の革命』も2018年に登場しています。物語は進化し続け、多くの読者に新たな驚きと感動を提供しています。

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