待詔局

待詔局の歴史と役割

待詔局（たいしょうきょく）は、明治時代の日本において重要な役割を果たした行政機関です。この機関は、政府に対して士民からの建言を受理し、それを処理することを目的として設立されました。

待詔の意味

「待詔」という言葉は、詔命が下るのを待つという意味を持ちます。すなわち、この機関の設立は、国民の声を政治に反映させるためのものだったと言えるでしょう。

設立背景

明治2年の3月12日、東京の城内に位置する太政官に待詔局が設置されました。この時、知事、判事、試補、書記、そして筆生など多様な職員が配置され、機関の運営が開始されました。設立の背景には、政治改革に対する市民の期待が強く影響していたと考えられます。

知事の任命と変遷

待詔局が設立されてから間もなく、4月8日には清岡公張が初代の待詔局知事に任命されました。しかし、この知事職はわずか1か月ほどで廃止されてしまいます。5月には正および権の主事、さらに参事の体制が整えられました。

待詔院への改称

その後、7月8日の官制改革により、待詔局は「待詔院」と改称され、上局と下局の二つに分けられました。ですが、上局は実質的な機能を伴っていなかったため、名ばかりの機関となってしまいました。大久保利通や板垣退助といった功績者が待詔院学士に任じられ、名誉を含むシンボリックな役職として利用されたことが特徴的です。

待詔下院の設置

一方で、下局は「待詔下院」と称され、阿野公誠がその長官に就任しました。しかし、8月14日にその事務は集議院に統合され、待詔下院としての役割は終了します。これは、政府における議会制度の整備とともに、士民の意見をより広く集約する試みの一環だったと推測されます。

まとめ

待詔局は明治政府の中でも特異な地位を占めており、士民の声を政治に反映させるための重要な機関でした。しかし、短期間での体制変更や、名目上の組織の設置など、実効性には限界がありました。それでも、この機関の設立は、政治に対する国民の関心を高め、後の制度改革へと繋がる一助となったことは間違いありません。明治時代のエポックメイキングな試みとして、その意義は大きかったと言えるでしょう。

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