後藤一也

後藤一也（ごとう かずや）

日本のテレビプロデューサー、演出家。1970年（昭和45年）4月27日生まれ。

経歴

北海道大学経済学部を卒業後、1998年に北海道文化放送（UHB）へ入社。キャリアの初期は報道部に所属し、記者として取材活動に従事した。その後、番組制作部門へと異動し、ドキュメンタリーやドラマといった分野で手腕を発揮するようになる。

特に、社会の深層に迫るドキュメンタリー作品で高い評価を確立した。ジャーナリスティックな視点と、視聴者の心に響く人間ドラマを描き出す演出力が持ち味である。

主な担当作品と評価

後藤氏が演出やプロデューサーとして手掛けた作品は多岐にわたり、国内外で数々の賞を受賞している。

ドキュメンタリー

ある出所者の軌跡〜浅草レッサーパンダ事件の深層（2005年、演出）
浅草レッサーパンダ事件に関わった人物の出所後の人生を追った作品。社会復帰の難しさや人間の再生を描き、そのリアリティとテーマ性で、ギャラクシー賞選奨、日本民間放送連盟賞テレビ報道番組優秀賞、放送文化基金賞、地方の時代映像祭優秀賞、FNSドキュメンタリー大賞優秀賞といった多くの賞を受賞した。

石炭奇想曲〜夕張、東京、そしてベトナム（2007年、演出・構成）
かつて日本のエネルギーを支えた石炭を巡る物語を、夕張、東京、ベトナムという異なる場所を繋ぎ合わせて描いた意欲作。石炭産業の盛衰とその影響を受けた人々の姿を通して、グローバルな視点から歴史と経済、そして人間の営みを見つめた。この作品は、日本民間放送連盟賞テレビ報道番組最優秀賞、ギャラクシー賞奨励賞を受賞したほか、フランスで開催された国際テレビ映像フェスティバルFIPATELにも招待され、国際的な注目を集めた。FNSドキュメンタリー大賞特別賞も受賞。

雨はすべてを洗い流す〜在宅死に向き合う三家族の絶望と再生の記録（2010年、演出・構成）
在宅での看取りという重いテーマに深く切り込んだドキュメンタリー。死を迎える家族とそれを見守る家族の姿を克明に記録し、生と死、そして家族の絆について問いかける作品として、地方の時代映像祭で優秀賞を受賞した。

ドラマ

風のガーデン（2008年、演出協力）
脚本家・倉本聰が手掛けた著名なドラマシリーズに参加。演出協力として作品世界を構築する一員となった。

バッケンレコードを超えて（2013年、主演:比嘉愛未、演出・脚本）
スキージャンプを題材にしたオリジナルドラマで、自身が演出と脚本を担当した。アスリートの挑戦と葛藤を描いた。

情報・バラエティ

乃木坂46 橋本奈々未の恋する文学（2016年、主演:橋本奈々未、演出・プロデューサー）
人気アイドルグループ乃木坂46のメンバーを起用し、北海道の文学作品ゆかりの地を巡る紀行ドキュメンタリー風番組。若い視聴者層に文学や地域の魅力を伝える試みとして成功し、中国で開催された2018アジア旅映画テレビ映像祭の国際番組部門で最優秀賞を受賞。また、Blu-ray/DVDもオリコン週間映像ランキングのドラマ部門で1位を記録するなど、商業的にも大きな反響を得た。

EXILE TRIBE 男旅（2018年〜、総合プロデューサー）
人気ダンス＆ボーカルグループEXILE TRIBEのメンバーが北海道を舞台に様々な企画に挑戦するドキュメンタリー風バラエティ。長期にわたり放送されている人気シリーズであり、北海道文化放送の看板番組の一つとなっている。

About Her（2020年、プロデューサー）
プロデューサーとして参加した作品。

まとめ

後藤一也氏は、報道記者としての経験で培った社会への洞察力と、多岐にわたるジャンルで発揮される演出・プロデュース手腕を持つクリエイターである。特に、地域に根差した視点から出発しながらも、普遍的な人間ドラマや社会問題を描いたドキュメンタリーは国内外で高く評価されている。また、ドラマやエンターテイメント番組においても、オリジナリティを発揮し、新たな試みに挑戦している。北海道という地域から、全国、そして世界に向けて質の高いコンテンツを発信し続けている人物として、その活動が注目される。

もう一度検索