後藤俊夫

後藤俊夫は、1938年11月6日生まれ、長野県伊那市出身の映画監督です。現在は飯島町に在住しています。彼の映画制作の原点は、長野県伊那北高等学校を卒業後、立教大学社会学部へと進み、1962年に卒業したことに始まります。その後、新世紀映画株式会社に入社し、山本薩夫監督の下で助監督として数々の名作に関わりました。

『戦争と人間』、『華麗なる一族』、『金環蝕』、『不毛地帯』、『あゝ野麦峠』など、社会派ドラマから時代劇まで幅広いジャンルの作品で助監督を務め、映画制作の基礎を築きました。1978年には、青銅プロダクション制作の『こむぎいろの天使－雀（すずめ）と少年』で監督デビューを果たします。

その後、後藤監督は活動拠点を故郷である信州伊那谷に移し、動物と人間の触れ合いをテーマにした作品や、美しくも時に厳しい自然を背景に「生きる」ということを問いかける作品を多く手がけています。特に、伊那谷の豊かな自然と、そこで暮らす人々の姿を捉えた作品は、観る者の心に深く響きます。彼の作品には、人間と自然の調和、生命の尊さ、そして地域文化の継承というテーマが根底に流れています。

1983年には、その才能と功績が認められ、芸術選奨新人賞を受賞しました。2007年には、信州伊那谷に伝わる農村歌舞伎をテーマにした『Beauty』を製作し、2008年5月から劇場公開されました。この作品では、大鹿歌舞伎に代表される農村歌舞伎の保存と伝承に情熱をかける人々の姿と、伊那谷の美しい風景が描かれており、日本全国に感動を呼びました。

2010年11月には、「こむぎいろの天使」シリーズの3作目となる新作映画『こむぎいろの天使－空を飛ぶブタ（仮題）』の制作が発表され、2011年春から撮影が開始されました。この作品は、後藤監督の母校である伊那小学校をモデルに、ブタを育てる「命の授業」を通して、子供たちが友情を育んでいく物語です。

後藤監督の主な作品には、以下のようなものがあります。

『こむぎいろの天使 雀と少年』 青銅プロダクション（1978年）
『マタギ』 青銅プロダクション（1981年）
『こんにちは、ハーネス』 全国映画センター（1982年）
『イタズ 熊』 東映（1987年）
『オーロラの下で』 東映（1990年）
『ベトナムのダーちゃん』 こぶしプロ・テレビ朝日（1994年）
『地球が動いた日』 GOGOビジュアル企画（1997年）
『ミナクロと公平じいさん』 北星映画（1998年）
『こむぎいろの天使 すがれ追い』 プロデュースセンター・製作委員会（1999年）
『Beauty-うつくしいもの-』 （2007年）

後藤俊夫監督は、自身の故郷である信州伊那谷を深く愛し、その美しい自然と豊かな文化を映画を通して世界に発信し続けています。彼の作品は、観る者に生きる喜びと希望を与え、人間の本質を見つめ直す機会を与えてくれます。また、地域文化の継承にも尽力し、日本の映画界において重要な役割を担っている監督の一人です。

彼の作品は、単なるエンターテイメント作品としてではなく、社会的なメッセージや哲学的な問いかけを含んでおり、多くの人々に感動と影響を与え続けています。

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