後藤斉

後藤 斉（ごとう ひとし）

後藤斉は、日本の言語学者で、1955年10月3日に宮城県で生まれました。彼は特にロマンス諸語を専門とし、東北大学の名誉教授として知られています。また、エスペラントの運用者としても活躍し、日本におけるエスペラントの普及に寄与しました。

経歴

後藤は1978年に東北大学文学部・言語学専攻を卒業後、大学院に進学。その後、1980年に博士前期課程を修了し文学修士の資格を得ました。続いて博士後期課程に進みましたが、1983年に単位取得退学し、東北大学文学部の助手としてのキャリアが始まります。

1987年には山形県立米沢女子短期大学で講師としての職務を担当し、1991年には助教授として東北大学文学部に戻りました。さらに2000年には大学院文学研究科に異動し、2004年に教授に昇進しました。その中で、1999年から2000年にかけてロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンに留学し、海外の最新の研究に触れる機会を持ちました。

2021年には定年を迎え、名誉教授の称号を授与され、長年にわたり活躍した言語学者としての地位を確立しました。彼の公私にわたる業績の中には、日本ロマンス語学会の会長や、日本エスペラント学会の理事など、数多くの重要な役割が含まれています。これらの活動を通じて、彼は日本の言語学界に多大な貢献をしてきました。

おもな業績

後藤はエスペラントに関する数多くの著作を発表しています。代表的な単著には、1993年に出版された「エスペラント常用6000語」や、2008年の「エスペラントを育てた人々―仙台での歴史から」があります。前者ではエスペラント語の語彙の広がりが扱われ、後者では仙台におけるエスペラントの歴史や発展を論じています。

さらに、「単語力から総合的な語学力へ -エスペラント応用語彙論-」（2015年）や「人物でたどるエスペラント文化史」（2015年）も彼の重要な業績です。また、東日本大震災の影響についての研究をまとめた「Esperantistaj voĉoj el la katastrofo 2011」もあり、エスペラントと被災者の声を結びつけた重要な作品です。

共編としての業績も多彩で、2006年には「エスペラント日本語辞典」の編集委員会に参加し、小坂賞を受賞するなどの評価を得ています。さらに、柴田巌との共編で作成した「日本エスペラント運動人名事典」（2013年）でも同様に受賞しました。

共訳としては、言語学史に関する著作であるR・H・ロウビンズによる「言語学史 第三版」を手掛けており、これも後藤の言語学者としての深い洞察を示しています。

後藤斉はその業績を通じて、言語学の発展に寄与し続け、日本社会におけるエスペラントの認知度を高めるために尽力してきた人物です。

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