徐吉嶺

徐吉嶺（ソ キルリョン）氏は、1985年3月5日に愛知県でこの世に生を受けた、日本の元ラグビーユニオン選手です。フィールド上では、主にウィング（WTB）のポジションでプレーし、そのスピードとフィジカルを活かした突破力でチームのトライに貢献しました。身長は180cm、体重は95kgというアスリートにふさわしい体格を持ち合わせており、チームメイトや関係者からは「ぶんた」というニックネームで親しまれていました。

彼のラグビーキャリアの基礎は、故郷である愛知県で築かれました。愛知朝鮮中高級学校の高級部を卒業後、2003年に東京都にある朝鮮大学校へと進学。大学のラグビー部でスキルと戦術を磨き、将来トップレベルでプレーするための準備を進めました。

大学を卒業した2007年、徐氏は日本のラグビー界における最高峰のリーグであったジャパンラグビートップリーグに所属する強豪、ヤマハ発動機ジュビロ（現在の静岡ブルーレヴズ）に加入し、プロフェッショナルとしてのキャリアをスタートさせました。ヤマハ発動機ジュビロでは、非常に長い期間となる8シーズンにわたってチームの一員として活躍。その献身的なプレーでチームに欠かせない存在となりました。特に加入初年度の2007年10月27日には、ジャパンラグビートップリーグの記念すべき第1節、トヨタ自動車ヴェルブリッツ戦において先発メンバーとして出場し、自身のトップリーグにおける公式戦デビューを飾っています。この初出場以降、徐氏はウィングとして多くの試合で重要な役割を果たしました。

国内リーグでの確固たる実績に加え、徐吉嶺氏は国際舞台での経験も積んでいます。2009年には、世界的な祭典であるラグビーワールドカップセブンズに出場する7人制ラグビーの日本代表メンバーに選ばれました。アラブ首長国連邦のドバイで開催されたこの大会で、世界の強豪を相手にプレーした経験は、彼のラグビー人生における貴重な財産となりました。15人制とは異なるスピードと持久力が求められる7人制ラグビーでの代表選出は、彼の持つポテンシャルの高さを証明するものと言えるでしょう。

ヤマハ発動機ジュビロでの長きにわたる在籍期間を経て、徐氏は2015年に所属チームを移籍します。次のキャリアの舞台として選んだのは、同じくジャパンラグビートップリーグに所属していた豊田自動織機シャトルズ（現在の豊田自動織機シャトルズ愛知）でした。豊田自動織機シャトルズでも引き続きウィングとしてプレーを続け、チームの戦力として貢献しました。豊田自動織機には2018年まで3シーズン在籍し、この年をもってトップリーグでの選手生活に一区切りをつけ、現役を退きました。

徐吉嶺氏のキャリアは、学生時代からの地道な努力と、トップリーグという厳しい環境で8シーズン、そしてその後のチームでの3シーズンという長期間にわたってプレーを続けたこと、さらに7人制日本代表として世界大会に出場したという輝かしい実績に彩られています。ウィングとして、チームの攻撃に貢献し続けたそのプレーは、多くのラグビーファンにとって記憶に残るものでしょう。

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