御仕置例類集

御仕置例類集（おしおきるいれいしゅう）

御仕置例類集は、江戸幕府が作成した刑事事件に関する判例集です。老中が各奉行から伺いが立てられた刑事事件について、評定所に諮問し、その答申である評議書を犯罪の事例、犯罪者の身分・年齢・性別などによって分類・整理したものです。

概要

御仕置例類集は、以下の編纂年代順に分類されています。

古類集（30冊）: 明和8年（1771年）から享和2年（1802年）まで（文化元年（1804年）成立）
続類集（31冊）: 享和3年（1803年）から文化11年（1814年）まで
新類集（37冊）: 文化12年（1815年）から文政9年（1826年）まで
天保類集（65冊）: 文政10年（1827年）から天保10年（1839年）まで
新々類集（79冊）: 天保11年（1840年）から嘉永5年（1853年）まで

これら5度の編纂が確認されており、それぞれ表紙の色が異なっていました。

奉行や代官には、自己で専決できる事例や刑罰に制限が設けられており、それを超える事件については老中に伺いを立てて判断を仰ぐ必要がありました。老中は、その事案について評定所に諮問することになっていました。

『御仕置例類集』は、その際に作成された評議書（答申）をまとめたものです。複数回評議した記録や少数意見に関する記載も含まれており、また公事方御定書の法解釈についても触れられています。そのため、御定書とともに極秘の扱いを受け、評定所、町奉行、勘定奉行、寺社奉行、京都所司代、大坂城代のみが保管を許されていました。

新々類集は唯一の現存本とされていた評定所旧蔵本が関東大震災で焼失したとされていますが、残りの4つは江戸幕府滅亡の際に寺社奉行から明治政府に引き渡され、現在は国立国会図書館に所蔵されています。

参考文献

小宮木代良「御仕置例類集」（『歴史学事典 9 法と秩序』弘文堂、2002年） ISBN 978-4-335-21039-6
* 平松義郎「御仕置例類集」（『国史大辞典 2』吉川弘文館、1980年） ISBN 978-4-642-00502-9

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