御土居

御土居の概要

御土居（おどい）は、豊臣秀吉が築いた土塁で、京都を囲む防護施設です。この土塁は、外側の堀と共に御土居堀と呼ばれることもあります。歴史的文献には「堤」「土居堀」「京惣廻土居」などと記載されており、秀吉による京都の改造事業の一環であります。御土居は京都市内の一部が現存しており、その重要性から国の史跡に指定されています。

御土居の位置

御土居の正確な位置に関する記録はほとんど残っていませんが、現存する遺構や江戸時代の絵図に基づいた推定により、その範囲が南北約8.5km、東西約3.5kmの形を呈していることがわかっています。全長約22.5kmに及ぶこの土塁の北端は北区紫竹の加茂川中学校付近、南端は南区の東寺に達し、東西で鴨川や紙屋川が堀の役割を果たしています。御土居には直線状ではない部分がいくつかあり、特に「御土居の袖」と呼ばれる小さな凸部が存在します。これに関しては、形状の理由がいくつかの説として挙げられ、未解明の部分もあります。

構造と土塁の特徴

1918年から1920年にかけて行われた学術調査により、御土居の断面は台形であり、基底部が約20m、頂部が約5m、高さ約5mの構造を持つことが判明しました。土塁には周囲に堀が設けられ、一般的に最大4m程度の深さを持っていました。多くの堀は鴨川や紙屋川の水を利用しており、そのため土塁の築造に惜しまれながらも膨大な土が必要とされたと考えられます。しかし、土地調達方法が解明されていない点も研究課題の一つです。

建設の目的

御土居の建設にはさまざまな目的があったと見られています。ひとつは、京都の市街地とその周囲の境界を明確にする役割です。この点において、御土居は洛中と洛外を区分する重要な要素となり、洛中の復興と発展を図った重要な施策であったことが推測されます。

防衛機能

御土居は、戦国時代の惣構のように防護の役割も果たしていましたが、防衛のみを目的としていたわけではないとの指摘もあります。防衛戦略の観点から見ると、御土居の設計にはいくつかの不自然な点があります。御土居は市街地に対して広範囲を囲んでおり、特に西部では農地が広がっていたため、兵力確保の必要性が高くなりました。

歴史的変遷

御土居の建設は1591年に始まり、同年の早い段階でほぼ完成しましたが、その後、江戸時代には取り壊され、出入口が新たに構築されました。明治維新の後、多くの御土居が民間に払い下げられ、取り壊されることとなります。その中でも、1930年には国の史跡に指定され、現在でも御土居の跡地が保存されています。

現在の御土居

現在、御土居の遺跡は数か所で確認されており、文化財として保護されています。市内には御土居をモチーフとした地名や通り名が残っており、当時の名残を感じさせます。御土居の魅力が地元の歴史や文化に根付いていることを再確認することができます。

このように、御土居は土塁としての機能だけでなく、京都の歴史と文化の一部としての重要な役割を果たしてきた施設なのです。

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