御子神

御子神（みこがみ）とは、神社において、親子関係にある神が祀られている場合に、子に当たる神のことを指します。この概念は、苗裔神（びょうえいしん）とも呼ばれます。

「御子神」という呼び方が用いられるのは、親子ともに主神である場合や、親神が主神であり、その子も共に祀られている場合です。特に、母子関係にある場合は、母子神信仰との関連が深く、古くからの信仰形態を反映していると考えられます。

具体的な例として、八坂神社が挙げられます。八坂神社では、主神として素戔嗚尊（すさのおのみこと）が中央に祀られ、その東側には妃神である櫛稲田姫命（くしなだひめのみこと）が、西側には「八柱御子神」（やはしらのみこがみ）が祀られています。これは、主神である素戔嗚尊とその子神たちを共に祀る形を示しています。

また、春日大社には、摂社として「若宮社」（わかみやしゃ）があります。この若宮社では、春日大社の主神である天児屋根命（あめのこやねのみこと）の御子神である天押雲根命（あめのおしくもねのみこと）が祀られています。このように、若宮は御子神を祀る社として知られています。

しかし、「若宮」という名称は、必ずしも御子神を祀る神社だけを指すわけではありません。社が比較的新しく創建された場合に、「若い社」という意味で若宮と名付けられることもあります。また、主神の親神や祖先神が祀られている場合や、主神が最初に祀られた場所（御旅所）、あるいは主神を勧請した神社が若宮と呼ばれる例もあります。そのため、若宮という名称があるからといって、必ずしも御子神が祀られているとは限りません。

御子神の概念は、日本の神道における神々の系譜や、信仰の多様性を示す重要な要素です。神社の祭神を理解する上で、御子神という視点を持つことは、より深く神道の世界を理解する助けとなるでしょう。

関連する用語としては、王子神（おうじしん）があります。王子神もまた、御子神と同様に、神社の祭神における親子関係を示す概念です。これらの概念を理解することで、神社の祭祀や信仰の背景にある、神々の関係性をより深く理解することができます。

参考文献としては、國學院大學日本文化研究所が1999年に発行した『神道事典』（弘文堂）が挙げられます。この事典は、神道に関する基本的な知識や用語を網羅的に解説しており、御子神についての理解を深める上で役立つでしょう。

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