御嶽神社 (渋谷区)

宮益御嶽神社：渋谷の街を見守る歴史ある神社

東京都渋谷区に鎮座する宮益御嶽神社は、その名の通り宮益坂の由来となった神社としても知られています。宮益坂を望む渋谷区立商工会館・消費者センターの2階屋上に位置し、緩やかな参道が南へと伸びる、都会の中にひっそりと佇む静寂な空間です。

創建は1570年（元亀元年）と古く、長い歴史の中で渋谷の街を見守り続けてきました。境内には、「明治天皇御嶽神社御小休所阯」の記念碑が建っています。明治3年（1870年）、明治天皇が駒場野練兵場（現在の東京大学駒場キャンパス）で行われた陸軍軍事演習を視察された際、皇居から駒場までの休憩所としてこの地が使用されたことを示す貴重なものです。この歴史的出来事を記念し、神社は「聖蹟」としての栄誉を担うこととなりました。

毎年11月の酉の日に開催される酉の市も、宮益御嶽神社の重要な行事です。特に「三の酉」がある年は、火災が多いという言い伝えも残されています。多くの人々が賑わいを見せるこのイベントは、神社と地域社会の繋がりを象徴する、重要な伝統行事となっています。

しかし、この歴史ある神社は、現在大きな危機に瀕しています。2023年4月12日、都市計画決定により、宮益御嶽神社を含む宮益坂地区の再開発が行われる予定となっているためです。再開発計画には、神社の取り壊しも含まれており、地域住民からは反対運動も起こっています。神社の存続を望む声は強く、この計画の行方は、渋谷の街の歴史と文化の未来を左右する重要な問題となっています。

アクセスは渋谷駅から徒歩3分と非常に便利で、多くの人々が気軽に訪れることができます。神社周辺は、近代的な高層ビルが立ち並ぶ一方で、古くからの街並みが残るエリアでもあります。そんな対照的な景観の中に位置する宮益御嶽神社は、渋谷という街の多様な魅力を象徴する存在と言えるでしょう。

神社の歴史や文化、そして再開発問題など、様々な側面から見ていくことで、宮益御嶽神社の持つ意義をより深く理解することができるでしょう。これからも、多くの人々がこの神社に訪れ、静寂な空間の中で歴史と文化に触れることができることを願ってやみません。

参考文献

佐藤昇 著『渋谷区史跡散歩 (東京史跡ガイド13)』学生社、1992年

外部リンク

宮益御嶽神社 - 渋谷宮益商店街

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