御所見直好

御所見直好（ごしょみ なおよし）は、1919年9月8日に神奈川県で生まれた日本の地誌学者、随筆家です。本姓は長谷川。神奈川県農業技術養成所を卒業後、太平洋戦争ではビルマに従軍しました。

戦後、御所見は鎌倉の地誌と歴史に深く魅了され、その魅力を伝えるべく数々の随筆を執筆しました。彼の著作は、鎌倉の歴史や文化、自然に対する深い愛情と洞察に満ちており、読者を鎌倉の奥深い世界へと誘います。

代表的な著書としては、『だれも知らない鎌倉路』（主婦と生活社、1974年。後に集英社文庫に収録）、『鎌倉史話散歩』（秋田書店、1975年）、『鎌倉の四季』（雪華社、1975年）などがあります。これらの作品では、鎌倉の隠れた名所や歴史的な出来事、そして四季折々の美しい風景が生き生きと描かれています。

また、『日本の味』（木耳社、1978年）では、日本の食文化に対する造詣の深さを示し、『鎌倉路の百花譜 野生の花の風土記』（共立出版、1980年）や『花 春夏秋冬』（光村推古書院、1983年）では、自然に対する豊かな感性を披露しています。

歴史に関する著作としては、『鎌倉史話探訪 武家社会の葛藤の謎』（大和書房、1990年）があり、武家社会の複雑な人間関係や歴史的背景を詳細に分析しています。また、自身の戦争体験を綴った『ビルマ戦線雑兵譚』（光和堂、1995年）は、戦争の悲惨さと人間の尊厳について深く考えさせられる作品です。

晩年には、『振りかえるふるさと山河の花』（全2巻、日貿出版社、2001年）を出版し、故郷への愛着と自然への深い感謝の念を表現しました。

御所見直好は、単なる地誌学者や随筆家としてではなく、鎌倉という土地を愛し、その魅力を多くの人に伝えようとした情熱的な文化人でした。彼の著作は、今もなお多くの読者に愛され、鎌倉を訪れる人々の心を豊かにしています。2007年に生涯を閉じましたが、その業績は後世に語り継がれています。

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