御旅屋

御旅屋について

御旅屋（おたや）は江戸時代、加賀藩で藩主が鷹狩や民情視察の際に利用していた宿泊施設です。また、参勤交代の際にも使用され、藩内には7か所から10か所の御旅屋が存在していたとされます。御旅屋の設置により、加賀藩は他の藩とは異なる取り組みを行い、宿泊施設を専用の建物として整備しました。

御旅屋の機能と特徴

小藩では「御本陣」と称して臨時に民家を借りることが一般的でしたが、加賀藩は「御旅屋」を設け、藩主が安心して滞在できるようにしました。現存する御旅屋の建物は、富山県高岡市戸出町にある御旅屋門だけです。古の御旅屋の中でも、特に高岡御旅屋や戸出御旅屋が有名であり、その歴史や変遷が語られています。

主な御旅屋の歴史

高岡御旅屋

高岡御旅屋は、現在の富山県高岡市御旅屋町にかつて存在しました。この場所は鷹狩や参勤交代の際、加賀藩主が宿泊するために使用されていました。初めての建設は慶長20年から寛永2年にかけて行われたと考えられ、1664年には火災による再建もなされています。藩主の利用頻度は年に1～2回程度であったため、1715年以降はほとんど使用されなくなり、その結果、1784年には取り壊されました。その後は武具の虫干しを行う施設や倉庫が置かれましたが、1880年には土地が民間へ売却され、長い歴史を持つ施設が姿を消しました。

戸出御旅屋

戸出御旅屋は、前田利常の命により1642年に建設され、加賀藩の宿泊施設としての役割を果たしました。壮大な土塀に囲まれ、夜間には警護のための空堀に囲まれる形で整備されていました。しかし、建物が加賀藩以外の私的な使用目的に移行した後、1958年に門以外は壊されました。現在残っている門は永安寺に移され、高岡市の指定文化財として評価されています。さらに、「御膳水井戸」も残り、歴代の藩主が使用していた水源として今も利用されています。

杉木新町御旅屋

杉木新町御旅屋は、寛文4年に建築され、井戸が現在も残るなど、その存在が地域において重要な役割を果たしていました。

魚津御旅屋

魚津御旅屋は富山湾の近くに位置し、藩主が鷹狩りのために訪れるなどの記録があります。蜃気楼を目撃した場所としても知られ、現在では公園として整備されています。

津幡御旅屋

この御旅屋は、前田利家の命により建設され、歴史的な背景がありますが、1877年に焼失しました。

まとめ

加賀藩の御旅屋は、単なる宿泊施設ではなく、藩の歴史や文化を物語る重要な存在でした。今日、これらの施設に残された名残は、地名や文化財として評価されています。御旅屋の歴史を知ることで、江戸時代の加賀藩の実情や文化をより深く理解できるでしょう。

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