御霊櫃峠

御霊櫃峠（ごれいびつとうげ）

御霊櫃峠は、福島県郡山市逢瀬町と湖南町の境界に位置する標高約876mの峠です。猪苗代湖や郡山市街を見渡せる景観の美しさで知られ、四季折々の自然を楽しめるスポットとして親しまれています。

概要

峠の名前の由来となったのは、登山道沿いにある「櫃石（ひついし）」と呼ばれる巨石です。この石は、かつて神霊を移して五穀豊穣を祈願するために用いられたと伝えられています。

峠の付近の山頂北側には、風神社と雨神社という二つの祠が鎮座しています。古くから水不足の際には雨乞いを、嵐の際には災害がないように祈りが捧げられてきたと伝えられています。現在でも麓の多田野本神社の関係者によって、毎年6月には伝統的な参詣行事が行われています。

峠を横断する林道ごれいびつ線は、額取山への登山コースの入り口にもなっており、多くの登山客が利用します。また、郡山市観光協会などによって山ツツジの名所としても紹介されており、シーズンには多くの観光客で賑わいます。林道脇には、自動車10台程度が駐車可能なスペースや公衆トイレが整備されています。

麓には、日帰り温泉施設「ごれいびつ荘北の湯」（単純冷鉱泉）があり、峠を訪れた人々の憩いの場となっています。

歴史

御霊櫃峠は、歴史的にも重要な場所です。平安時代後期の前九年の役では、源義家の家臣である鎌倉景正（景政）がこの地を平定し、御霊の宮を造営して鎮護を祈りました。しかし、災害が相次いだため、山中の霊石に神霊を移して五穀豊穣を祈願したと伝えられています。この霊石が「御霊櫃」と呼ばれるようになり、峠の名前の由来になったとされています。

幕末の戊辰戦争（会津戦争）では、会津藩が薩摩藩や長州藩などの官軍の進軍を防ぐための要衝の地となり、峠周辺には現在でも防塁の跡が残っています。これらの史跡は、当時の激戦の様子を今に伝えています。

御霊櫃峠は、豊かな自然と歴史が織りなす魅力的な場所です。猪苗代湖や郡山市街の眺望、櫃石や風神社、雨神社などの史跡、そして四季折々の美しい自然は、訪れる人々を魅了し続けています。登山やハイキング、ドライブなど、様々な楽しみ方ができる御霊櫃峠に、ぜひ一度足を運んでみてください。

関連項目

* 日本の峠一覧

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