徳島高等学校 (旧制)

旧制徳島高等学校：戦後復興と新たな出発の物語

旧制徳島高等学校は、徳島県に存在した官立の旧制高等学校です。その歴史は、第二次世界大戦という激動の時代と深く関わっています。戦火によって甚大な被害を受けた旧制徳島医学専門学校の生徒たちを救済するために、1947年5月14日、政令によって設立されました。

戦後の混乱と生徒たちの未来

旧制徳島医学専門学校は、軍医の育成を目的として設立されましたが、1945年7月の空襲で校舎や附属病院を失うという大きな被害を受けました。戦後、専門学校の第3、4学年が「B級」と判定されたことで、多くの生徒が他の医学専門学校への転校を余儀なくされました。しかし、当時の四国には徳島医学専門学校しかなく、経済的な理由から転校できない生徒も少なくありませんでした。

この窮状を救済するため、官立徳島高等学校が設立されたのです。わずか3年間の短い歴史でしたが、多くの生徒にとって希望の光となりました。高等学校は、理科乙類のみを設置。旧医学専門学校の生徒を中心に、第2、3学年に入学を許可しました。第1学年にも、希望する旧医学専門学校の生徒を受け入れました。新たな学びの場を求める人々にとって、かけがえのない存在だったと言えるでしょう。

徳風寮：学び舎を支えた共同生活

旧制徳島医学専門学校から引き継がれた「徳風寮」は、生徒たちの生活の拠り所となりました。寮歌も複数存在し、共同生活の温かさと結束を物語っています。寮の生活は、勉学に励む日々の傍ら、友情を育み、青春時代を彩る大切な時間となりました。

新制大学への統合と歴史の終焉

1948年2月10日、旧制徳島医学専門学校は旧制徳島医科大学へと昇格しました。そして、1949年5月31日、旧制徳島医科大学、旧制徳島医学専門学校、そして旧制徳島高等学校は、他の旧制高等教育機関と共に新制徳島大学へと統合されました。旧制徳島高等学校は、その歴史に幕を閉じ、1950年3月31日に廃止されました。わずか3年間という短い期間でしたが、戦後復興の過程において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

歴代校長と校地の変遷

初代校長には、中田篤郎氏が就任しました。同氏は、旧制徳島医学専門学校校長、徳島医科大学学長、そして新制徳島大学初代学長も兼任しており、旧制徳島高等学校の設立と発展に大きく貢献しました。校地は旧制徳島医学専門学校に併置されており、徳風寮なども引き継がれたと考えられています。

関係者と関連資料

旧制徳島高等学校に関する記録は、徳島大学医学部五十年史編集委員会編『徳島大学医学部五十年史』や、秦郁彦氏の『旧制高校物語』などに散見されます。これらの資料は、当時の状況や人々の思いを知る上で貴重な手がかりとなります。

まとめ

旧制徳島高等学校は、戦後の混乱期において、旧制徳島医学専門学校の生徒を救済するために設立された、短いながらも重要な歴史を持つ高等教育機関でした。その存在は、戦後復興期における教育のあり方や、人々の未来への希望を示す象徴として、今もなお記憶に刻まれています。わずか3年間という短い期間でしたが、多くの学生の未来を支え、新制徳島大学へと繋がる重要な役割を果たしたと言えるでしょう。その歴史と精神は、後世に語り継がれるべき貴重な遺産です。

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