徳島高等工業学校

徳島高等工業学校：旧制専門学校から新制大学への歩み

1922年（大正11年）、第一次世界大戦後の高等教育機関増設政策の一環として設立された徳島高等工業学校（略称：徳島高工）。本校は、土木工学、機械工学、応用化学の3科を擁する官立の高等工業学校として、その歴史をスタートさせました。特に応用化学科の製薬化学部は、卒業生に薬剤師資格が認められるなど、薬学専門学校としての側面も併せ持っていました。

創立から発展、そして戦争の影

創立当初から、徳島高工は優秀な人材育成に力を注ぎました。1923年の開校以来、多くの学生が各学科で学び、卒業していきました。1925年には校歌が制定され、学校としてのアイデンティティを確立。1926年には最初の卒業生を送り出し、その後の発展の礎を築きました。また、1937年には応用化学科製薬化学部が独立し、製薬化学科として新たな歴史を刻むことになります。

しかし、第二次世界大戦の勃発は、徳島高工にも大きな影響を与えました。1944年には徳島工業専門学校と改称され、学科改組や夜間部の設置など、時代の変化に対応した改革が行われました。同時に、工業技術員養成科や臨時教員養成所の設置など、社会の要請に応える教育活動にも積極的に取り組んでいました。

戦災と復興、そして新制大学へ

1945年7月4日、徳島空襲により、校舎の大半が焼失するという大きな被害を受けました。しかし、関係者の努力により、2部授業での授業再開や校舎の再建、新本館の落成など、着実に復興が進められました。

そして1949年、歴史的な転換期が訪れます。学制改革により新制徳島大学が設立され、徳島工業専門学校は工学部（土木工学科、機械工学科、薬学科、応用化学科、電気工学科）の母体としてその歴史に幕を閉じました。翌1951年には、薬学科が独立し薬学部として新たなスタートを切りました。

受け継がれる伝統と発展

徳島高等工業学校は、戦災や学制改革といった困難な時代を乗り越え、その歴史を新制徳島大学工学部・薬学部へと繋げました。旧制時代の校地である常三島キャンパスは、現在も工学部として活用され、その伝統は脈々と受け継がれています。また、同窓会である「徳島大学工業会」や「徳島大学薬友会」は、旧制・新制の卒業生をつなぎ、活発な活動を続けています。

まとめ

徳島高等工業学校は、高度な専門技術者を育成し、地域社会の発展に貢献した歴史を持つ学校です。その歴史は、時代の変化に対応しながらも、教育理念を貫き通してきた証です。そして、その伝統は現在も徳島大学工学部・薬学部に受け継がれ、未来へと続いています。創立から廃止、そして新制大学への統合まで、多くの困難を乗り越えてきた徳島高等工業学校の物語は、日本の高等教育史において重要な一ページを刻んでいると言えるでしょう。徳島高工の卒業生たちが築き上げた功績は、今後も長く語り継がれていくことでしょう。

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