徳川家康 (松本清張)

『徳川家康』の概要

松本清張による伝記『徳川家康』は、戦国時代に生きた徳川家康の人生をテーマにしています。本作は1955年4月に大日本雄辯会講談社から出版され、特に少年少女向けに書かれた作品です。この伝記は、家康がどのようにして日本の歴史に大きな影響を与えたのかを描くことで、若い読者に歴史への興味を喚起しようとしています。

主な登場人物

• - 徳川家康: 物語の中心人物で、三河の小さな大名、松平広忠の子として誕生。幼少期には竹千代という名を持っていました。
• - 今川義元: 広範囲に領土をもつ大名で、家康の成長に影響を与えます。
• - 織田信長: 尾張を平定し、勢力を拡大した重要な人物です。
• - 武田信玄: 精鋭の軍を持つ大名で、家康の前に立ちはだかる存在となります。
• - 豊臣秀吉: 信長の死後に力をつけた人物で、家康との関係が物語を彩ります。
• - 石田三成: 秀吉の側近として活躍しますが、後に家康との対立が生じます。

書籍の構成

この作品は講談社版と角川文庫版の2バージョンで刊行され、章立てが異なります。講談社版は大きく3部に分かれ、それぞれの章に細かく分けられています。また、全ての漢字にはふりがなが付けられ、著者自身による解説も収められています。

1. 春を待つ芽: 家康の幼少期から成人に至るまでの成長過程を描写。
2. 戦旗: 戦国時代の激動の中での家康の活動や戦略が詳細に語られます。
3. 完成への道: 家康が江戸幕府を築くまでの道のりや、その後の展望について述べています。

一方、角川文庫版では、章立てが簡素化され、ふりがなも省略されています。こちらも家康の生涯を通しての彼の成長が描かれています。

書誌情報

• - 講談社版

- 『徳川家康』（世界伝記全集 19）1955年4月25日発売
- 火の鳥伝記文庫版『徳川家康』1982年9月30日発売
- 1988年に出た少年少女伝記文学館版

• - 角川文庫版

- 『徳川家康』1964年1月20日発売
- 2022年に新装版が登場

エピソード

松本清張は、家康の功績が日本の平和と秩序に貢献したことを本作の中で強調しています。彼は家康が築いた幕府の組織制度が260年間も持ちこたえた理由を考察し、家康の頭脳の優れた点についても言及しています。著者の清張自身の歴史観や人物論が色濃く反映された作品であるところが、この伝記の魅力の一つです。

翻訳と漫画版

1992年には韓国語訳も出版され、後に漫画版も登場しました。このように、家康の物語は多くの人々に親しまれ続けています。

このような背景を持つ『徳川家康』は、単なる伝記以上に、若い世代に向けた教育的な要素を含んだ重要な作品と言えるでしょう。

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