徳雲寺 (美濃加茂市)

徳雲寺（とくうんじ）

徳雲寺は、岐阜県美濃加茂市加茂野町市橋にある曹洞宗の寺院です。金剛山と号し、美濃三十三観音霊場の三十一番札所、中濃八十八ヶ所霊場の七十七番札所として、地域の人々に親しまれています。

歴史

徳雲寺の本尊である白衣観音菩薩は、その昔、武蔵国の海岸に流れ着いたものを印牛禅師が拾い上げ、その後、金華山山麓の黙山庵で祀られていたと伝えられています。天明2年（1782年）に、徳雲寺の迦葉院耕田がこの観音像をこの地に移し、寺を建立したとされています。

本堂は、もともと白山神社の神宮寺の建物として創建されたものと伝えられていますが、どの白山神社であるかは明らかではありません。往時には、寺内に「ハタゴ池」と呼ばれる池があり、弁財天が祀られていました。このハタゴ池は埋め立てられて耕地となり、弁財天は現在、寺の前の祠に祀られています。

ハタゴ池には、竜宮に通じていたという伝説が残っています。その昔、機織りをする女性が池に願えば、必要なハタゴ（織機に使う杼）をいくらでも貸してくれたそうですが、ある女性が借りたハタゴを約束の期日までに返さなかったため、それ以降はどんなに願っても池からハタゴが浮かび上がることがなくなったと伝えられています。

また、徳雲寺には、子安観音も祀られており、子授けや安産にご利益があるとされ、多くの人々の信仰を集めています。

参考文献

『美濃加茂市史 民俗編』　第一二章　仏寺と法会　第六節 加茂野　p408～p409　美濃加茂市　1978年
『美濃国加茂郡誌』【加茂野 徳雲寺】　p757　岐阜県加茂郡役所　大正10年
* 『美濃西国三十三観音巡礼』　美濃西国三十三観音霊場会　p167～p169　朱鷺書房　1999年

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