徴古館 (佐賀市)

徴古館は、佐賀県佐賀市に位置する歴史博物館であり、公益財団法人鍋島報效会によって運営されています。この博物館は、佐賀藩の藩校であった弘道館の跡地に、鍋島家12代当主の鍋島直映の意思を受け継ぎ、1927年（昭和2年）に開館しました。佐賀県初の博物館として、鍋島家が所蔵する貴重な資料を一般に公開することを目的として設立され、図書館としての機能も併せ持っていました。

開館当初から鍋島家の資料を中心に展示が行われていましたが、1940年以降は、鍋島家によって設立された財団法人鍋島報效会が運営を引き継ぎました。しかし、1945年（昭和20年）には佐賀連隊区司令部によって一時的に接収され、その後、1955年（昭和30年）に佐賀県文化館として再開されました。その後、1970年（昭和45年）に展示公開が休止されましたが、20年以上の時を経て、1997年（平成9年）には国の登録有形文化財に指定され、1998年（平成10年）6月に博物館として再び開館しました。さらに、2021年（令和3年）10月27日には「22世紀に残す佐賀県遺産」にも認定され、その歴史的価値が改めて評価されています。

徴古館の収蔵品は多岐にわたり、中でも「催馬楽譜」は国宝に指定されている唯一の文化財です。この他にも、佐賀藩ゆかりの武具や、幕末期の科学技術を示す資料、貴重な書跡や典籍などが数多く収蔵・展示されています。

主な収蔵品

武器・武具
青漆塗萌黄糸威二枚胴具足（江戸時代初期・17世紀前半）：佐賀県重要文化財
太刀 主銘 國行（鎌倉時代中期・13世紀）：佐賀県重要文化財
太刀 主銘 来國光（鎌倉時代末期・14世紀）：佐賀県重要文化財
刀 銘 肥前國住藤原忠廣 寛永七年八月吉日（寛永7年(1630年)）：佐賀県重要文化財
長巻 折返銘「正平十 肥州末貞」正平十年代（1355～1364年）：佐賀県重要文化財
幕末の科学技術
蒸気車雛形（安政2年(1855年)）：佐賀県重要文化財
蒸気船雛形（スクリュー船・安政2年(1855年)）：佐賀県重要文化財
蒸気船雛形（外輪船・安政2年(1855年)）：佐賀県重要文化財
書・典籍
催馬楽譜（平安時代後期・11世紀）：国宝
東遊歌神楽歌（平安時代後期・12世紀）：重要文化財
東遊歌風俗歌譜（平安時代後期・12世紀）：佐賀県重要文化財
紺紙金字妙法蓮華経（高麗時代・至元6年(1340年)）：佐賀県重要文化財
紺紙銀字妙法蓮華経（壬申の年・1332年)：佐賀県重要文化財

これらの収蔵品を通じて、佐賀藩の歴史や文化、そして日本の文化史における重要な側面を垣間見ることができます。徴古館は、歴史と文化を愛する人々にとって、訪れる価値のある場所です。

外部リンク

公益財団法人鍋島報效会 徴古館

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