徴用工像

徴用工像とは

徴用工像は、第二次世界大戦中に日本企業で働かされた朝鮮半島出身の労働者、いわゆる徴用工をモチーフにした銅像です。この像は、慰安婦像の制作でも知られる韓国人彫刻家夫婦、キム・ウンソンとキム・ソギョンによって2016年に制作されました。当初は京都市内の坑道付近に設置されましたが、その後、韓国各地にも多数設置されるようになりました。

設置を巡る経緯

2017年4月、韓国の市民団体がソウル市内での記者会見で、ソウルの日本大使館前、釜山の日本総領事館前、光州に徴用工像を設置すると発表しました。市民団体は、徴用工問題に対する日本政府の謝罪と補償が不十分であると主張し、元徴用工の名誉回復と歴史清算を目的としました。特に、ソウルと釜山の像は、違法に設置された慰安婦像の横に設置される予定でした。

これに対し、日本政府は日韓請求権協定によってこの問題は解決済みであると反論し、韓国政府に適切な対応を求めました。しかし、韓国国内では、光復節を前にソウルの龍山駅前や仁川の富平公園に像が設置されました。さらに、釜山では市民団体が総領事館前に像を設置しようとしましたが、韓国政府が外交問題への発展を懸念し、機動隊を動員して阻止しました。最終的に像は強制撤去されましたが、領事館近くの歩道に放置され、その後も撤去と設置を巡り、日韓両国の間で摩擦が生じました。

影響と議論

徴用工像は、日韓関係における歴史問題の象徴的な存在となっています。2019年には、大田市庁舎前の公園に設置された像を巡り、「日本人がモデルではないか」という市議の発言が裁判で「真実相当性」を認められました。これは、像の制作者が日本人をモデルにしていないと主張したことに対する反論でした。この判決は、像のモデルを巡る議論が、歴史認識の違いや政治的な思惑によって複雑化していることを示唆しています。

まとめ

徴用工像は、日韓間の歴史認識や外交関係において重要な意味を持つ存在です。その設置を巡っては、両国間で外交問題に発展するなど、大きな影響を与えています。像のモデルや歴史解釈を巡る議論は、日韓間の歴史問題の根深さを示すとともに、今後の両国関係にも影響を与える可能性を秘めています。

関連項目

慰安婦像：同じ制作者によって制作された像であり、日韓関係における歴史問題の象徴として設置されている。
徴用工訴訟問題：徴用工問題に関する訴訟であり、日韓間の重要な外交問題となっている。
* 日本統治時代の朝鮮人徴用：第二次世界大戦中に日本政府が朝鮮半島出身の労働者を動員した歴史的な出来事。

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