心と口と行いと生活で

バッハのカンタータBWV147『心と口と行いと生活で』

バッハが1723年に作曲したカンタータ『心と口と行いと生活で』（BWV147）は、主の母マリア訪問の祝日をテーマにしています。この作品は全10曲で構成されており、特に終曲のコラール『主よ、人の望みの喜びよ』として親しまれています。

第1部の内容

第1曲 合唱「心と口と行いと生活で」

この曲は、心、口、行いでイエス・キリストを証しすることの重要性を説いており、恐れや偽善を捨て、神の救い主としての存在を告白するよう促しています。

第2曲 レチタティーヴォ「祝福されし口よ」

ここでは、主の母マリアが口を使って主を賛美したことを示し、キリストを信じることで悪魔と罪から解放される道が示されています。拒む者には裁きが待っているとの警告がなされています。

第3曲 アリア「おお魂よ、恥ずることなかれ」

イエス・キリストを告白することを恥じる者には、再臨の際に退けられることになると語りかけています。このメッセージは、信仰の重要な側面を強調しています。

第4曲 レチタティーヴォ「頑ななる心は権力者を盲目にし、最高者の腕を王座より突き落とす」

ここでは、頑固な心がもたらす悲劇について語られており、権力の座にある者も衝撃的な結末を迎える可能性について触れています。

第5曲 アリア「イエスよ、道をつくり給え」

信者はイエスに道を開いてほしいと願い、その信仰を訴えています。

第6曲 コラール合唱「イエスはわたしのもの」

この曲は喜びと感謝に溢れ、イエスが自身の支えであり続けると歌います。苦難の中でもイエスからの愛が感じられることが表現されています。

第2部の内容

第7曲 アリア「助け給え、イエスよ」

信者は信仰を告白できるように助けを求めています。この願いは、信仰の強さを求める心情を表しています。

第8曲 レチタティーヴォ「全能にして奇跡なる御手は」

ここでは、エリサベツの胎内のヨハネが聖霊によって満たされたエピソードが語られ、信者がイエスを救い主として告白する力が聖霊から与えられる様子が描かれています。

第9曲 アリア「われは歌わんイエスの御傷」

イエス・キリストの奇跡を賛美し、御愛によって強められる信者の姿を描写しています。この美しいアリアは、信仰の力を称賛する重要な部分です。

第10曲 コラール合唱「イエスは変わらざるわが喜び」

このコラールは、イエスの存在が常に喜びであることを力強く表現し、信者たちの心を一つにする楽章です。

有名な第6曲について

第6曲は歌詞の異なる別バージョンでも知られており、特に『主よ、人の望みの喜びよ』の名は広く知られています。この曲は、英語圏での『Jesus, Joy of Man's Desiring』としても有名で、マイラ・ヘスによるピアノ編曲で特に人気を集めています。

関連項目

本カンタータの旋律は、他の作品にも影響を与えており、ヨハン・ショップによる『心をはずませ』からもインスピレーションを受けています。

このカンタータは、バッハの信仰や人間の苦悩と喜びを歌い上げる素晴らしい作品であり、さまざまな場面で演奏されています。

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