忍法ネコだまし

トムとジェリー：忍法ネコだまし

1958年公開の『トムとジェリー』シリーズ作品、『忍法ネコだまし』（原題：The Vanishing Duck）は、トムとジェリーのコミカルな攻防と、意外な結末が特徴的な、人気の高いエピソードです。

この作品では、トムの飼い主であるジョージが、妻ジョアンの誕生日プレゼントとして歌うアヒルの子を贈ります。ディナーに出かける夫妻ですが、ジョアンは「ネコがいるからアヒルをいじめるかもしれない」と心配します。しかし、ジョージはトムを外に出して鍵をかけたと安心するのです。

その会話を盗み聞きしたトムは、留守中に家に入り込み、アヒルを捕まえようと企みます。アヒルは逃げ出し、ジェリーの巣穴に逃げ込みます。こうして、アヒルを助けるジェリーと、アヒルを捕まえようとするトムの、いつものドタバタ劇が始まります。

物語は、アヒルが偶然にも「透明になるクリーム（VANISHING CREAM）」を発見する展開を迎えます。アヒルは、このクリームを使って、ジェリーと共にトムを出し抜こうと画策します。二人はクリームを使って姿を消し、トムを翻弄し、最終的には家から追い出すことに成功します。

アヒルとジェリーは、トムを撃退したことを喜び合います。しかし、その様子を隠れて見ていたトムは、透明になるクリームの存在を知ってしまいます。

トムは、アヒルとジェリーが油断した隙に、彼らにもクリームを使い、姿を隠して奇襲をかけます。ちりとりを武器に、透明になったトムはアヒルとジェリーを一方的に攻撃し、二人は逃げ回る羽目になります。

この作品では、通常はジェリーが勝利するパターンが多い中、トムが勝利するという、珍しい展開が描かれています。トムの知略と粘り強さが、見事に勝利をもたらした、数少ないエピソードの一つと言えるでしょう。

登場キャラクター

トム:　アヒルを捕まえようとしますが、ジェリーに邪魔され、アヒルとジェリーを追いかけることになります。透明化クリームで隠されたアヒルとジェリーに追い出されますが、最後はクリームを使って仕返しをします。
ジェリー:　トムに食べられそうになったアヒルを助けます。アヒルと協力して、透明化クリームを使ってトムを撃退しますが、トムの逆襲にあいます。
アヒル:　ジョアンの誕生日プレゼント。常に「Good Morning to All」を歌っています。トムに襲われそうになりジェリーに助けを求め、透明化クリームを使ってトムを打ち負かしますが、最後はトムの逆襲にあいます。
ジョージとジョアン:　トムの飼い主の夫婦。ジョージはジョアンに歌うアヒルの子を誕生日プレゼントに贈ります。

作品全体のポイント

この作品の魅力は、予測不能な展開と、テンポの良いコミカルな演出にあります。アヒルがクリームを使って姿を消すという、意外な展開が物語に緊張感とユーモラスな雰囲気をもたらしています。また、トムが最後に勝利するという、珍しい結末も、視聴者に驚きと印象的な余韻を与えます。

さらに、音楽も作品に彩りを添えています。アヒルが歌う「Good Morning to All」は、作品全体を明るく、楽しい雰囲気に包み込んでいます。

『忍法ネコだまし』は、トムとジェリーの定番のドタバタ劇を楽しみつつ、意外な展開とトムの勝利という、新鮮な驚きを味わえる、見逃せない作品です。日本のテレビでは、1964年から1990年代頃までTBS系列などで放映され、DVDにも収録されています。

もう一度検索