忍野発電所

忍野発電所の概要

忍野発電所（おしのはつでんしょ）は、山梨県南都留郡忍野村に位置する東京電力運営の水路式発電所です。桂川からの取水を行い、39.4メートルの有効落差を利用して800kWの出力を発電しています。水力発電所として歴史が長く、明治時代から発展を遂げてきました。

歴史的背景

日本の電力供給は当初、火力発電が主流でしたが、石炭の価格上昇に伴い、明治時代末期から水力発電へのシフトが進みました。桂川は1年を通じて安定した水量を持ち、首都圏に近いため多くの発電事業が展開されました。明治40年には、駒橋発電所が完成し長距離送電が実現するなど、水力発電の歴史的な発展を促進しました。

忍野発電所の設立は、明治38年に始まりましたが、水利権の折衝が難航し、一旦は計画が中断しました。1910年（明治43年）には再度発起人たちが忍野水力電気の設立を目指し、桂川の水を利用するプランを提出しました。計画は変更を重ね、最終的に大正9年（1920年）に発電所が完成し、東京電燈と合併したことで現在に至ります。

自動発電所としての成長

大正13年（1924年）には発生した火災により、発電所の設備が焼失しましたが、その後、東京電燈が復旧工事を行い、自動制御を導入しました。これにより、忍野発電所は日本で初の自動発電所として生まれ変わりました。この技術革新は、発電の効率化に大きく寄与しました。

現在の運用

現在、忍野発電所は水力発電の技術を駆使して安定した電力供給を行っており、環境への影響を最小限に抑えています。発電に使用する水は桂川の急流に由来し、すべての水は適切に管理及び配分されており、地域住民の生活にも寄与しています。発電所の運用においては、上部水槽から引かれる水が用いられ、厳密な管理のもとで排水工程が設計されています。

主要設備の概要

忍野発電所の設備は、以下のような主要な構成要素から成り立っています。

• - 取水位：922.17メートル
• - 放水位：882.27メートル
• - 水車：横軸単輪複流フランシス水車
• - 出力：1,103 kW（定格）×1台
• - 発電機：横軸三相交流同期発電機×1台
• - 導水路：総延長619.3メートル（幅1.67メートル×延長483.7メートル）
• - 上部水槽：縦16.88メートル×横4.55メートル×高4.09メートル
• - 水圧鉄管：内径1230mm、長さ73.74メートル
• - 入口弁：偏芯型単葉弁
• - 放水路：幅1.66メートル、総延長365.6メートル

このように設計された忍野発電所は、安定した発電を可能にし、地域への電力供給に重要な役割を果たしています。水力発電の特性を活かしたこの発電所は、持続可能なエネルギーの一例として、今後もその存在意義が求められることでしょう。

もう一度検索