志摩篤

志摩篤（しま あつし）は、1934年（昭和9年）12月27日に生まれ、日本の陸上自衛官として活躍しました。最終階級は陸将で、第22代陸上幕僚長を務めた人物です。特筆すべきは、防衛大学校の第一期卒業生として、初めて陸上幕僚長に就任したという点です。このことは、自衛隊の幹部育成において、防衛大学校の役割が大きくなったことを示す象徴的な出来事と言えるでしょう。

生い立ちと自衛隊入隊

埼玉県出身の志摩氏は、1953年（昭和28年）に長崎県立大村高等学校を卒業後、防衛大学校に進学しました。1957年（昭和32年）3月、防衛大学校を卒業（第1期）し、陸上自衛隊に入隊しました。この時、同期の卒業生たちは、後の自衛隊を支える幹部として、それぞれの道を歩み始めました。

陸上自衛隊でのキャリア

志摩氏の自衛隊でのキャリアは、情報、防衛、教育訓練といった様々な分野に及びます。1977年（昭和52年）には1等陸佐に昇任し、陸上幕僚監部第2部情報第1班長、陸上幕僚監部調査部調査第2課調査第2班長などを歴任。1978年（昭和53年）には、第1普通科連隊長に就任し、部隊の指揮官としての経験も積みました。1981年（昭和56年）には、陸上幕僚監部防衛部運用課長となり、防衛政策の立案にも携わりました。1982年（昭和57年）に陸将補に昇任、1983年（昭和58年）には東北方面総監部幕僚副長、1984年（昭和59年）には陸上幕僚監部教育訓練部長を務め、教育訓練体制の強化にも貢献しました。

1986年（昭和61年）には陸将に昇任し、第9師団長に就任。その後、1987年（昭和62年）には防衛大学校幹事、1988年（昭和63年）には第19代北部方面総監を歴任しました。そして、1990年（平成2年）には、陸上自衛隊の最高位である第22代陸上幕僚長に就任しました。これは、防衛大学校の卒業生として初の快挙であり、自衛隊の歴史に新たな1ページを刻む出来事でした。1992年（平成4年）に退官するまで、陸上自衛隊の発展に大きく貢献しました。

退官後の活動

退官後も、志摩氏は社会の様々な分野で活躍しました。2012年（平成24年）からは偕行社の理事長を務め、自衛隊OBの活動を支援しています。また、日本会議の代表委員も務め、保守的な立場から社会問題に関する発言を行っています。

受賞歴と著書

2006年（平成18年）には、長年の功績が認められ、瑞宝重光章を受章しました。また、著書として、防衛官僚であった池田久克との共著で『イギリス国防体制と軍隊』（教育社、1979年）があります。これは、イギリスの国防体制について詳細に分析したもので、自衛隊の幹部だけでなく、研究者にも広く読まれています。

まとめ

志摩篤氏は、自衛隊の歴史において、重要な役割を果たした人物の一人です。防衛大学校の卒業生として初の陸上幕僚長を務めたこと、情報、防衛、教育訓練といった様々な分野で活躍したこと、そして退官後も社会貢献を続けていることなど、その功績は多岐にわたります。彼のキャリアは、自衛隊の発展とともに、日本の防衛政策の変遷を物語る上で、非常に重要な意味を持っています。

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