忠津陽子

忠津陽子：少女漫画界を彩ったポップな才能

忠津陽子（ただつようこ）は、1949年1月25日生まれの日本の漫画家で、北海道置戸町出身です。彼女の作品は、1970年代の少女漫画界において独特の地位を築き、その可愛らしい絵柄とポップな作風で多くの読者を魅了しました。代表作には、テレビドラマ化もされた『美人はいかが？』があります。

生い立ちと初期の活動

手塚治虫、石森章太郎、水野英子といった巨匠たちに影響を受けた忠津は、北海道札幌旭丘高等学校で、山岸凉子、いがらしゆみこ、田中雅子らと出会います。高校卒業後、『夏の日のコーラ』で商業誌デビュー。同時に『COM』の読者投稿コーナー「ぐら・こん」に入選し、漫画ファンから注目を集めました。

専門学校卒業後、編集者の勧めにより上京。大和和紀と同居しながら、『別冊マーガレット』や『週刊マーガレット』で『美人はいかが？』などを発表し、人気作家としての地位を確立しました。彼女の作風は、当時の少女漫画に新たな風を吹き込みました。

多様なジャンルへの挑戦

忠津陽子の作品は、ラブコメディにとどまらず、後年には『ロザリンドの肖像』のようなホラー作品も手がけました。この幅広いジャンルへの挑戦は、彼女の多才さを示すものでしょう。1979年に結婚を機に漫画家を引退しますが、2012年に単行本『フィアンセがいるのに』を発表し、ハーレクイン小説のコミカライズを中心に活動を再開しています。

人物像と影響

忠津は、山岸凉子とは高校の先輩後輩の関係で、大和和紀とは共通の友人を通じて知り合いました。彼女の交友関係は、同時代の漫画家たちとの交流を物語ります。また、松苗あけみ、ひかわきょうこ、竹本泉、美樹本晴彦など、後進の漫画家やアーティストにも大きな影響を与えました。彼女の作品は、世代を超えて愛され続けています。娘は、東京都新宿区でカレー店『spicy curry魯珈』を経営する齋藤絵理です。

主な作品

単行本

忠津陽子の作品は、単行本の発売順と作品の発表順が必ずしも一致していません。連載漫画が月刊誌に再掲載されることが多く、単行本化が遅れることもありました。

• - 『あつまれ青春』（1970年）
• - 『バイバイB・Fどの!』（1971年）
• - 『美人はいかが?』（1971年）
• - 『お金ためます!』（1972年）
• - 『ミリーただいま参上!』（1973年）
• - 『ハロー!王子さま』（1975年）
• - 『とびだせ!お嬢さん』（1975年）
• - 『恋のフーガ』（1976年）
• - 『ロザリンドの肖像』（1976年）
• - 『結婚の条件』（1977年）
• - 『満月城へようこそ』（1977年）
• - 『ランドルフの花嫁』（1977年）
• - 『セシルの場合は…!?』（1977年）
• - 『三月の庭から』（1978年）
• - 『エルベの王冠』（1979年）
• - 『どちらが恋のおじゃま虫』（1982年）
• - 『冬恋物語』（1996年）
• - 『フィアンセがいるのに』（2012年）
• - 『優しい嘘』（2013年）
• - 『燃えつきた絆』（2014年）
• - 『あなたの頬にキスを』（2015年）
• - 『忠津陽子コレクション1 満月城へようこそ』（2005年）
• - 『忠津陽子コレクション2 恋のてほどきABC』（2005年）
• - 『忠津陽子コレクション3 お金ためます！』（2005年）

イラスト詩集・企画本

• - 『ようこそ愛』（1976年）
• - 『漫画家 忠津陽子 ぬりえBook』（2020年）
• - 『ザ・少女マンガ! 忠津陽子の世界 ラブコメディのスペシャリスト』（2021年）

挿絵

• - 『アンデルセン童話絵本 2 赤いくつ』（1982年）
• - 『ナイチンゲールものがたり』（1990年）
• - 『私たちの愛した赤毛のアン』（2019年）

ゲーム

• - 『ソーン物語』（キャラクターデザイン）

単行本未収録作品

多数の短編作品が『別冊マーガレット』や『週刊マーガレット』に掲載されました。

忠津陽子の作品は、その時代を映し出し、多くの読者に愛され続けています。彼女の漫画は、今もなお、少女漫画の歴史において重要な位置を占めています。

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