怒りのグルーヴ 〜震災篇〜

嘉門タツオのシングル「怒りのグルーヴ 〜震災編〜」について

1995年7月21日、嘉門タツオ（旧名・嘉門達夫）はシングル「怒りのグルーヴ 〜震災編〜」をリリースしました。この楽曲は、彼のアルバム『NIPPONの楽しみ』に収録された原曲を基にしたもので、阪神・淡路大震災の実情をテーマにしています。震災発生からおおよそ半年が過ぎた頃のリリースで、これはチャリティーシングルとしても知られ、『泉谷しげる 俺にもやらせろ!』のテーマソングにも使用されました。

この楽曲の歌詞は、その時の村山内閣の震災対応や、マスコミの報道についての批判を含んでおり、彼の強いメッセージが込められています。一番と二番は特に、状況を反映した厳しい言葉が並んでいます。また、コーラスには泉谷しげるや大江千里が参加するなど、多くのアーティストが共演しています。実際、嘉門自身も地震発生時に神戸市のホテルに滞在していたため、彼にとっても非常に身近な出来事であったといえるでしょう。さらに、リリースされたCDの印税は全て震災復興に寄付されることが明記されており、音楽を通じた社会貢献の姿勢も感じられます。

シングルには、他にもいくつかのカップリング曲が収録されています。それらには、同じく震災に関連した地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教への批判が込められた「宗教篇」、おとぎ話に対する批判をテーマにした「おとぎ話篇」、そして団塊の世代の苦悩を描いた「団塊の世代篇」があります。特に「団塊の世代篇」では、当時の日本新党の消滅や、世界都市博覧会の中止といった時代背景も織り込まれており、深いメッセージ性を持っています。

収録曲は、オリジナルアルバムには収められていませんが、翌年にはアルバム『伝家の宝刀』にシリーズの第五弾として「怒りのグルーヴ 〜童謡篇〜」が収録されました。

リメイクとその後

2011年、東日本大震災を受けて、嘉門タツオは再び「怒りのグルーヴ」を弾き語りで披露しました。このライブは「ニコニコ生放送」で行われ、嘉門自身が震災の影響に対する思いを語りました。特に、石原慎太郎の「天罰」発言や、福島第一原子力発電所での危機的状況についての報道が引き起こした混乱を批判しており、これを反映させた楽曲が「怒りのグルーヴ 〜震災篇2011〜」として収録され、後に「希望のマーチ」というチャリティーシングルのカップリングに登場しました。

さらに2020年には、嘉門のYouTubeチャンネルにおいて「怒りのグルーヴ」シリーズが新たに発表されました。これには、検察庁法改正に関する批判や、安倍昭恵の発言、さらには黒川元検事長に関する問題をテーマにした楽曲などが含まれています。こうした作品は、社会情勢に対する彼の独自の視点を反映したものであり、長年にわたり進化してきた「怒りのグルーヴ」シリーズの新展開と言えるでしょう。

このように、「怒りのグルーヴ 〜震災編〜」はただの音楽作品ではなく、時代背景や社会問題を反映した重要なメッセージを持つ楽曲として、多くのリスナーに強い印象を残しています。

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