性食鬼

『性食鬼』（せいしょくき）は、稲光伸二が描く日本の漫画作品です。秋田書店発行の漫画雑誌『ヤングチャンピオン烈』にて、2010年No.09より現在も連載が続いています。単行本はヤングチャンピオン烈コミックスとして刊行されています。

本作は、非18禁の青少年誌に掲載されているにも関わらず、特撮ヒーローものの雰囲気と学園SF、そしてエロティックなコメディ要素を組み合わせた異色のジャンル作品です。地球を侵略しようとする異星人との戦いというシリアスなSF設定が基盤にありながら、人物描写や状況設定にはパロディ的なユーモアが多分に含まれています。特に、世界の危機に直面しているにもかかわらず、キャラクターたちが時に冷静すぎる、あるいはとぼけた表情を見せることで、物語の緊張感とギャグテイストの対比が生み出され、独特のコメディ感が醸成されています。主人公はあくまで真面目な性質であり、ストーリー展開も単調になることなく工夫されています。

ストーリー概要

物語の中心人物は、学級委員長を務め、周囲から生真面目な生徒と思われている女子高生の野川いずみです。しかし彼女は自身の強い性欲を持て余していました。そんな日常が破られるある日、いずみは異形の着ぐるみのような姿をした異星人に襲われそうになります。その窮地を救ったのは、バニーガール姿の戦士・うさ山でした。この出来事を機に、いずみはマイクロビキニ型の特殊な強化服を着用し、地球侵略を企む「着ぐるみ異星人」との戦いに身を投じることになります。

いずみは秘密防衛組織KAXAの支援を受けて異星人と対峙しますが、戦闘はしばしばエロティックな状況下で進行し、いずみが自身の性的興奮をエネルギー源として用いることで危機を乗り越えるパターンが中心となります。物語が進むにつれて、着ぐるみ異星人の生態系における最上位存在である「女王」の世代交代を巡る争いに巻き込まれるなど、いずみは異星人から積極的に追われる存在となります。また、連載の長期化に伴い、異星人側の勢力関係にも変化が現れていきます。

主な登場人物

多くのキャラクターの苗字には、京王線の駅名や東京都調布市周辺の地名が由来として用いられています。

野川いずみ: 本作のヒロインであり主人公。真面目な優等生ながら強い性欲を持ち、それが力となる体質。エロスは「宇宙レベル」と称され、異星人の「女王」から後継者候補として狙われます。
うさ山: バニー星から来た戦士で、バニーガールの姿。故郷を滅ぼした着ぐるみ異星人と戦います。
仙川: いずみの友人。
国領亘: いずみの学校の教師。裏では着ぐるみ異星人と共謀し、いずみの女王化を画策します。
深大寺晃: 対異星人組織KAXAの科学者・指揮官。いずみの力に注目し、彼女を戦いに導きます。
柴崎響子: 深大寺の助手。
武蔵野幸治: KAXAの若手研究員。組織の活動内容に戸惑う真面目な青年です。
ラビ島博士: 喋るウサギの姿をしたバニー星人の科学者。いずみの強化服開発者です。
着ぐるみ異星人: 服を溶かす体液を使い、対象に着ぐるみを着せて繁殖する存在。女性の「エキス」を栄養源とします。
女王: 着ぐるみ異星人の統率者。復活のためにエキスを集め、後継者を求めます。

特殊な設定・用語

強化服: 五感を高めるマイクロビキニ型の戦闘服。着用者本人以外は完全に脱がせませんが、女王のみは可能です。
新型強化服きぼう: 旧型の改良版で、バイブレーターやタンポンのような形状をしており、体内から自動装着が可能です。
KAXA: 着ぐるみ異星人研究開発機構。異星人対抗策の研究・実行を行う秘密組織です。

スピンオフ作品

本作の世界観を共有するスピンオフ作品が存在します。

『性食鬼外伝うさみみ宇宙戦争』: 『別冊ヤングチャンピオン』にて短期集中連載されました。
『性食鬼 Aliens Meet Girls』: Rusty Soul脚本、或十せねか作画による作品。本編とは異なり、女王に属さないオス異星人たちの活動を描きます。彼らが起こす事件を追う刑事や科学者チームと、異星人化した同級生との間に恋愛感情が芽生える女子高生という、複数の視点から物語が展開されます。

書誌情報

『性食鬼』本編: 稲光伸二、秋田書店〈ヤングチャンピオン烈コミックス〉、既刊21巻（2025年4月18日現在）。
* 『性食鬼 Aliens Meet Girls』: 稲光伸二（原作）・Rusty Soul（脚本）・或十せねか（作画）、秋田書店〈ヤングチャンピオンコミックス〉、既刊7巻（2025年4月18日現在）。

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