恋するブラジャー大作戦（仮）

『恋するブラジャー大作戦（仮）』：女性下着メーカーを舞台にした笑いと騒動の物語

2001年、香港で公開された映画『恋するブラジャー大作戦（仮）』（原題：絶世好Bra、英語題：La Brassiere）は、女性社員のみで構成されていた下着メーカー「シス」を舞台にしたコメディー映画です。中国市場進出に向け、新製品開発の必要性に迫られた香港支社は、社風を変え、男性デザイナーを採用するという大胆な決断を下します。

この異例の採用をきっかけに、女性社員と初めて会社にやってきた男性社員との間で様々な騒動が巻き起こります。文化や価値観の違い、そして女性特有の世界観を持つ職場環境に戸惑う男性社員の姿と、彼を取り巻く女性社員たちの反応がコミカルに描かれ、笑いを誘います。

香港では2001年9月27日に36館で公開され、初登場2位という好成績を収め、同日公開作品の中ではトップの成績を記録しました。しかし、日本での公開はそれから約5年後の2006年6月24日、キネカ大森という限定的な劇場での公開となりました。

興味深いのは、日本での劇場公開タイトルが『恋するブラジャー大作戦（仮）』のままだったという点です。映画祭での上映であれば仮題のままというケースもあるものの、商業的な劇場公開で仮題がそのまま使用されるのは非常に稀なケースで、『どつかれてアンダルシア(仮)』（1999年、スペイン）など、ごくわずかの例が存在するのみです。DVDタイトルも同様に『恋するブラジャー大作戦（仮）』となっています。

本作には、ラウ・チンワン、ルイス・クーといった香港映画界を代表する俳優陣に加え、日本からは青山知可子、吉岡美穂といった女優が出演しています。特に吉岡美穂はカメオ出演ながら、その出演時間は1分にも満たないと言われています。

『恋するブラジャー大作戦（仮）』は、単なるコメディー映画にとどまらず、異文化交流やジェンダー、そして企業における変化といったテーマを軽妙なタッチで描いた作品と言えるでしょう。男性社員の視点を通して描かれる女性社員たちの世界、そして彼らが織りなす人間模様は、多くの観客に笑いと共感を提供します。

この映画の成功は、続編の制作にも繋がりました。2002年には、同じ下着メーカーがベビー用品開発に乗り出す『絶世好B / Mighty Baby』、2004年にはフィリピン人メイドを題材とした『絶世好賓 / Driving Miss Wealthy』が制作されています。これら続編も、本作と同様に独特のユーモアと人間ドラマで彩られています。

『恋するブラジャー大作戦（仮）』は、香港映画の面白さと、日本での公開における興味深いエピソード、そして個性豊かなキャスト陣によって彩られた、記憶に残る一本と言えるでしょう。その軽妙なユーモアと、意外な深みのあるストーリーは、多くの観客を魅了し続けています。 香港映画ファンはもちろん、コメディー映画好きにも強くおすすめしたい作品です。

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