恋に無駄口

作品概要



『恋に無駄口』(こいにむだぐち)は、漫画家・福山リョウコによって手掛けられた日本の漫画作品です。主に白泉社が発行する『花とゆめ』誌上で、2019年の19号から2023年の15号にかけて連載されました。この作品は、見た目は端麗ながら、内面にはそれぞれユニークで「残念」な部分を持つ男子高校生4人組の青春を、ラブコメディとして描いています。彼らが友情を深めつつ、恋愛に奮闘する姿が物語の核となっています。

物語の内容



物語の舞台は高校生活。中心となるのは、仁科悠里、志田葵、各務ましろ、真山深の4人組です。彼らは皆、外見は人目を引くイケメンですが、中身は一癖も二癖もある個性派揃い。過去の経験から恋愛に消極的になった者、純粋すぎて周囲が見えていない者、独自の価値観で動くマイペースな者、そして完璧に見えて実は言動が残念な者など、彼らのギャップがコミカルな日常を生み出します。そんな彼らが、クラスメイトや幼馴染といった様々な人々との交流の中で、友情の絆を強め、初めての恋や片思いの切なさ、そして青春特有の悩みや葛藤を経験しながら成長していく様子が丁寧に描かれています。

沿革とメディア展開



本作の連載開始は、2019年8月に『花とゆめ』17号で事前に告知されました。同時期に別の連載も開始されたため、福山リョウコによる「ダブル新連載」の一つとして注目を集めました。単行本が発売される際には、プロモーションビデオが制作され、特に第1巻と第3巻の発売タイミングで公開されて作品の認知度向上に繋がりました。文芸誌『ダ・ヴィンチ』でも、注目のラブコメ作品として紹介されています。

メディアミックスも展開されました。2021年には、『花とゆめ』本誌および単行本第4巻の購入特典としてボイスドラマ化が実現し、人気声優陣によって主要キャラクターに命が吹き込まれました。さらに、2022年4月にはテレビドラマとして実写化され、朝日放送テレビの「ドラマL」枠で放送されて新たなファン層を獲得しました。漫画本編は、2023年7月発行の『花とゆめ』15号をもって最終回を迎え、完結しています。

主な登場人物



物語を彩る個性豊かなキャラクターたち。特に中心となる男子高校生4人組と、彼らに関わるヒロインなどが描かれます。

仁科悠里(にしな ゆうり)
本作の主人公。高校1年生。根っからの少女漫画ファン。過去の失恋経験がトラウマとなり、恋愛から距離を置こうとしている。ボイスドラマでの声優は小野賢章
志田葵(しだ あおい)
高校1年生。底抜けに明るいおバカキャラだが、驚くほど恋愛に鈍感。湯井芽李とは長年の幼馴染。ボイスドラマでの声優は花江夏樹
各務ましろ(かがみ ましろ)/シロ
高校1年生。捉えどころのない言動をする不思議系男子。恋愛そのものに興味がなく、面倒事を避ける傾向がある。ボイスドラマでの声優は村瀬歩
真山深(まやま しん)/マヤ
高校1年生。学業やスポーツは万能で、高身長。しかし、その残念な言動がギャップを生む。ボイスドラマでの声優は鈴木達央
湯井芽李(ゆい めり)
志田葵の幼馴染で、彼に一途に片思いしている。声優は内田真礼
叶依麻(かのう えま)
主人公たちが関わる女子生徒で、マンガ部に所属。声優は大西沙織
その他、虎井未希(声優は永塚拓磨)など、様々なキャラクターが登場し、物語を盛り上げます。

書誌情報



単行本は白泉社のレーベル〈花とゆめコミックス〉より、全12巻が刊行されています。各巻には、本誌掲載分だけでなく、『ザ花とゆめ』などの増刊号に掲載された番外編「talk extra」シリーズも一部収録されています。

テレビドラマ



2022年4月17日から同年6月19日まで、朝日放送テレビの制作により「ドラマL」枠で放送されました。全10話構成です。主演は、主人公・仁科悠里役を演じた奥野壮が務めました。

主な出演者: 主人公の仁科悠里を奥野壮、真山深を水沢林太郎、各務ましろを小西詠斗、志田葵を藤岡真威人が演じ、男子4人組を瑞々しく表現しました。主要なヒロインである叶依麻役には小栗有以、湯井芽季役には寺本莉緒が出演しています。桐乃学園生徒会長の詰出麗華役には鶴嶋乃愛、謎の転校生・曽我天音役には大谷凜香などが配役されました。また、真山深の執事役を赤ペン瀧川、叶依麻が所属するマンガ部の部長役を秋谷百音が務めました。ドラマオリジナルのキャラクターとして、桐乃学園の校務員役を上島竜兵が演じ、話題となりました。
スタッフ: 脚本は橋本夏、大歳倫弘、兵藤るり。演出は山口淳太、吉川鮎太、八十島美也子。音楽は未知瑠が担当し、語りは銀河万丈。主題歌にはKANA-BOONの「メリーゴーランド」が使用されました。
このテレビドラマが放送された「ドラマL」枠は、本作から放送時間が日曜日の23時55分開始へと変更されています。

まとめ



『恋に無駄口』は、見た目と中身のギャップが魅力的な男子高校生4人組を中心に、彼らが織りなす甘酸っぱい恋愛模様と、固い友情の絆を描いた青春群像劇です。彼らの不器用ながらもひたむきな姿が読者や視聴者の共感を呼び、多くの支持を得ました。漫画本編は完結しましたが、単行本やテレビドラマ化作品として、今なお彼らの「無駄口」だらけの青春を楽しむことができます。

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