恋の記憶、止まらないで

恋の記憶、止まらないで

『恋の記憶、止まらないで』（こいのきおく、とまらないで）は、人気オムニバスドラマシリーズ「世にも奇妙な物語」の一編として、2019年11月9日にフジテレビ系列で放送された「'19秋の特別編」内のストーリーである。現代社会に潜む不可解な出来事や人間の心理を描く本シリーズの中でも、特にホラー要素が強く打ち出された作品として知られる。

物語の概要

かつての輝きを失い、深刻なスランプに陥っていたシンガーソングライターの村瀬志保は、新たな曲を生み出す創作意欲が枯渇し、かろうじて生み出した作品も人々に受け入れられず、深い行き詰まりを感じていた。SNS上では批判的な声が相次ぎ、理解者であるはずの夫、中居賢治からも諦めとも取れる視線を向けられるようになる。そんな絶望的な状況の中、曲作りに励む最中に訪れたうたた寝の中で、彼女の脳裏に強烈に残るメロディが響く。志保はそのメロディを基に新曲を完成させ発表した。

この新曲はデジタル配信チャートで上位に食い込み、SNSでも賞賛の声が多数寄せられるなど高い評価を獲得。志保は再び音楽界の表舞台に返り咲く機会を得る。しかし、成功の裏には恐ろしい真実が隠されていた。ある夜、志保は自身の幼少期に出演した地方番組のCMソングが、新曲のメロディと酷似していることに気づく。意図せず他者の作品を剽窃（ひょうせつ）してしまっていた事実に、彼女は言葉を失うほど衝撃を受ける。

さらにインターネットで調査を進めると、その曲はかつて流された後、出演した歌手が急逝したことから一度きりの放送で封印された、『呪われたCMソング』として語り継がれている都市伝説に行き着く。自らの成功が、封印された呪いのメロディによるものだと知った志保は、想像を超える恐怖に直面することとなる。

反響と評価

本作は放映直後から大きな話題を呼んだ。特に、耳に残るメロディが不気味な現象を引き起こすという設定は、Jホラーの金字塔とされる映画「リング」や、古くから語られる都市伝説「一度だけ放映された呪いのCM」などを想起させると評され、視聴者に強烈な恐怖体験をもたらした。その完成度の高さから、シリーズファンからも高い支持を獲得。2025年5月31日に放送された「世にも奇妙な物語 35周年SP〜伝説の名作 一夜限りの復活編〜」では、ファンからの根強い人気を誇る作品の一つとして、復活放送される5作品の中に選出された。

スタッフ

• - 脚本：諸橋隼人
• - 編成企画：渡辺恒也、狩野雄太
• - プロデューサー：植田泰史、水野綾子
• - 演出：岩田和行
• - 音楽：蓜島邦明

キャスト

• - 村瀬志保：斉藤由貴
• - 中居賢治：利重剛
• - 尾形幹子：平栗あつみ
• - 三宅佳彦：木下政治
• - 女：笹野鈴々音
• - 宮島素子：イチキ游子
• - DJ：石田佳名子
• - 地方記者：五頭岳夫

「世にも奇妙な物語」シリーズの中でも、音楽と恐怖が見事に融合した、印象深いエピソードとして語り継がれている。

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