恋愛適齢期

『恋愛適齢期』（原題：Something's Gotta Give）は、2003年に公開されたアメリカ映画です。60代男性と50代女性の恋愛をコミカルに描いたロマンチック・コメディで、熟年期の恋の機微を軽妙洒脱に描いています。

音楽業界で成功を収めた63歳のハリー・サンボーンは、若い女性を常に恋人として囲うプレイボーイです。彼は、54歳の人気劇作家エリカ・バリーの娘マリンと交際していました。ある日、ハリーはマリンと過ごすためにエリカの海辺の別荘を訪れますが、そこで心臓発作を起こしてしまいます。幸い一命を取り留めたものの、医師の指示で別荘での療養を余儀なくされ、エリカや彼女の妹ゾーイの世話になることになります。

最初は反発し合うハリーとエリカでしたが、共に過ごす時間が長くなるにつれて、互いの魅力に気づき始めます。エリカは、一見チャラいハリーの裏に隠された繊細な一面を発見し、ハリーは、エリカの知性やユーモアのセンスに惹かれていきます。娘マリンとの関係、過去の恋愛の失敗、それぞれの生き方への葛藤など、様々な感情が複雑に絡み合いながら、二人の距離は徐々に縮まっていきます。

この映画の見どころは、なんといってもジャック・ニコルソンとダイアン・キートンの名演技です。ハリウッドを代表するベテラン俳優二人の絶妙な掛け合いは、笑いと感動を誘います。ハリーの軽妙な語り口と、エリカの辛辣ながらもどこか温かい対応が、絶妙なバランスで物語を彩っています。さらに、キアヌ・リーブス演じる医師や、フランシス・マクドーマンド演じるエリカの妹など、個性豊かな脇役たちが物語に深みを与えています。

監督・脚本を務めたナンシー・マイヤーズは、ダイアン・キートンをエリカ役に、ジャック・ニコルソンをハリー役に据えることを前提に脚本を書いたと言われています。また、映画のタイトルは、1954年のジョニー・マーサーの作品から取られており、キアヌ・リーブス演じる医師の名前もジョニー・マーサーにちなんで名付けられています。

アメリカでの宣伝ポスターはジャック・ニコルソンとダイアン・キートンの二人だけでしたが、日本公開時にはキアヌ・リーブスも加えたポスターが使われました。これは、日本の観客層への訴求力を高めるための戦略だったと考えられます。

『恋愛適齢期』は、年齢を重ねても恋愛を楽しめること、そして人生にはまだまだ可能性があることを教えてくれる、心温まるラブコメディです。年齢に関係なく、誰しもが共感できる普遍的なテーマと、魅力的なキャラクター、そして豪華キャストの演技が、この作品を忘れられないものにするでしょう。笑いと涙、そして人生の温かさを感じられる、おすすめの映画です。

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