恐ろしき四月馬鹿

恐ろしき四月馬鹿

「恐ろしき四月馬鹿」は日本のミステリー作家、横溝正史が1921年に発表した短編探偵小説であり、彼の処女作として知られています。この作品は、当時17歳だった横溝が雑誌『新青年』に懸賞小説として応募し、一等に輝いたことにより発表されました。彼は若き日の探偵小説作家としての第一歩を踏み出し、後に江戸川乱歩と並ぶ名声を得ることになります。

あらすじ

物語は4月1日の午前3時、M中学校の寄宿舎から始まります。主人公である学生・葉山は、同室の栗岡が不審な行動を取っているのを目撃します。栗岡は鮮血に染まったシャツと短刀を行李に詰め込んでおり、葉山は彼の不可解な行動に疑念を抱きます。この日、寄宿舎では小崎という学生が不幸にも殺害されてしまったことが判明しますが、遺体は行方不明で、部屋には激しい闘争の痕跡が残されているにもかかわらず、周囲の学生は何も気づいていませんでした。

葉山は栗岡を告発し、彼が容疑者になります。栗岡の部屋からは動かしがたい証拠が見つかりますが、彼は何も語らず、沈黙を貫くのみです。物語はこの緊張感の中、進行し、やがて真相に迫る出来事が次々に起こります。

最終的に、小崎の死体は古井戸から発見され、その存在が事件に新たな展開をもたらします。このような激しい事件が展開される中で、友情や疑念、沈黙の裏にある恐怖が物語を彩ります。

登場人物

• - 葉山: 本作の主人公であり、M中学校の寄宿舎の学生。栗岡の奇行を目撃し、事件の真相に迫ります。
• - 栗岡: 葉山の同室者で、鮮血に染まったシャツと短刀を扱ったことで疑惑を持たれるキャラクター。彼の沈黙が物語に深い謎を与えます。
• - 小崎: 殺害された寄宿生。彼の死が事件の発端となり、葉山や栗岡の行動を引き寄せます。
• - 速水: 他の学生の一人で、特に事件に深く関与しないものの、物語の背景を形成する存在です。

この作品は、横溝正史が自らの文学的な手腕を発揮した重要な作品であり、その後の日本の探偵小説の発展に大きな影響を与えました。独特のスタイルと緊張感あふれる語り口が光るこの短編は、今でも多くの読者に親しまれ続けています。

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