悪の教典

概要

『悪の教典』（あくのきょうてん）は、貴志祐介著の日本のサイコ・ホラー小説です。人気の教師・蓮実聖司が教師としての顔の裏でサイコキラーとしての残忍な犯罪を重ね、徐々に学校を支配していく様子が描かれています。本作は第1回山田風太郎賞を受賞し、直木賞候補にもなりました。2008年から2010年にかけて『別册文藝春秋』に連載され、2010年 7月30日に単行本として発売されました。さらに、2011年にはノベルス版が、2012年には文庫版が刊行され、短編も収められました。この小説は後に漫画や映画にもなりました。

あらすじ

私立晨光学院町田高校では、不良生徒やモンスターペアレント、集団カンニングといった深刻な問題が山積していました。英語教師である蓮実聖司は、その魅力的な外見と教育者としてのカリスマ性で生徒や保護者から絶大な人気を誇っています。しかし、彼の心の奥には、他者に共感することができないサイコパスの性が潜んでいました。自己中心的で冷酷な蓮実は、自身の邪魔になる者は容赦なく排除し、秘密裏に多くの人命を奪っていきます。

物語は文化祭の準備が進む中、蓮実が夜の学校で起こした事件から急展開していきます。彼は自身の犯行を隠蔽するため、40人もの生徒たちを目の前で無惨に殺す決断を下します。しかし、計画通りにはいかず、文化祭の惨劇の中で彼の邪悪な本性が露わになっていきます。

蓮実の行動は、まるで悪魔からの命令のように感じられるものとなり、最終的には彼の狂気が彼自身の身を滅ぼします。生き残ったものたちが彼の計画を暴く鍵を握っており、物語の結末へと導いていくことになります。

登場人物

蓮実聖司

演：伊藤英明
32歳の英語教師で、人気のある教師として生徒から愛されていますが、その実態はサイコパスの殺人鬼です。他者への共感能力が欠乏しており、邪魔だと感じた人間を簡単に排除します。

生徒たち

- 片桐怜花（演：二階堂ふみ）: 内向的で感受性豊かな女子生徒。蓮実の本性を察知し、警戒心を持つ。
- 安原美彌（演：水野絵梨奈）: クラスのリーダー格で、蓮実の虜となり不幸な道を歩む。
- 夏越雄一郎（演：浅香航大）: 温厚で頼りがいのある男子生徒。怜花を思う気持ちを抱いている。

小説の特徴

本作は、蓮実聖司の二重生活を詳細に描写し、彼の心理や行動の動機を深く掘り下げています。学校という閉ざされた空間で秘密と緊張の中に描かれる人間関係や、善悪の境界が曖昧な人物描写が読者を引き込みます。また、登場人物たちが織り成す複雑なドラマや、サスペンスフルな展開がクセになる要素も多く含まれています。

最終的にはリアルな恐怖と、人の心の内に潜む悪意を鋭く描写した作品として多くの評価を受けています。蓮実の悪行がどのように暴かれていくのか、そのクライマックスは読者に強い印象を残すことになるでしょう。

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