悪漢探偵

『悪漢探偵』（原題：最佳拍檔、英題：Aces Go Places、国際題：Mad Mission）は、1982年に香港で製作されたアクションコメディ映画です。新進気鋭の映画会社、シネマ・シティ（新藝城電影公司）が制作した本作は、『Mr.BOO!』シリーズでおなじみのサミュエル・ホイ主演ということもあって、当時大きな話題を呼びました。軽妙洒脱なアクションと笑いを織り交ぜた痛快なストーリー展開は、香港映画史においても重要な位置を占めています。

本作は、怪盗として名を馳せるサム（サミュエル・ホイ）と、その相棒ジョー（ディーン・セキ）の活躍を描いています。サムは、大胆不敵な手口で悪の組織からダイヤを強奪する怪盗“スパイダーマン”（本国公開版ではキングコング）として知られていました。そんな彼らも、強大なマフィア組織の標的に。一方、組織壊滅に執念を燃やす刑事コージャック（カール・マッカ）は、サムたちと手を組んでマフィアに立ち向かうことになります。

監督はエリック・ツァン、製作はカール・マッカとディーン・セキ、製作総指揮はポール・レイといった、香港映画界を代表するスタッフ陣が結集しました。脚本はレイモンド・ウォン、撮影は陳俊傑（ヘンリー・チャン）、音楽はサミュエル・ホイとテディ・ロビン・クァンが担当。それぞれの持ち味が融合し、作品に深みと華やかさを与えています。

日本では、1985年5月4日にフジテレビのゴールデン洋画劇場でテレビ初放送されました。蕨南勝之による演出、鈴木導による翻訳、そして高島忠夫による解説など、日本のスタッフ陣も作品の世界観を伝える上で重要な役割を果たしています。吹き替え版には、玉川砂記子、平林尚三、屋良有作など、豪華な声優陣が参加していました。ただし、この日本語吹き替え版はDVDには収録されていません。

『悪漢探偵』はシリーズ作品であり、その後も『悪漢探偵2』『皇帝密使』『スペクターX』『悪漢探偵V 最後のミッション』と続編が製作されました。しかし、シリーズ2作目と最終作は日本では劇場公開されませんでした。それでも、テレビ放送やビデオソフトを通じて、多くの日本人がこのシリーズ作品に触れ、その魅力を体感しています。

『悪漢探偵』は、香港映画黄金期の勢いを象徴する作品の一つです。軽快なテンポ、スリリングなアクション、そしてクスッと笑えるユーモアが絶妙に調和した本作は、世代を超えて愛される不朽の名作と言えるでしょう。現在でも、allcinema、KINENOTE、IMDbなどのデータベースサイトで高い評価を得ており、その人気は衰えることを知りません。華麗なアクションシーンとコミカルなキャラクター、そして予測不能なストーリー展開は、多くの観客を魅了し続けています。まさに、香港ノスタルジアを感じさせる、忘れがたい作品です。

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