悪魔のはらわた

『悪魔のはらわた』（Flesh For Frankenstein）は、1973年に公開されたイタリアとフランスの合作によるホラー映画です。アンダーグラウンド映画の鬼才、アンディ・ウォーホールが製作に関わり、ポール・モリセイが監督を務めました。主演はウド・キアと、ウォーホール作品の常連であるジョー・ダレッサンドロです。

この映画は、フランケンシュタイン博士が異常な臓器愛好者であり、男女の人造人間を創造して新人類を生み出そうとする、という独特な設定が特徴です。グロテスクな描写が多く含まれる一方で、ユーモアも散りばめられており、その独特な世界観がカルト的な人気を博しています。

物語は、フランケンシュタイン男爵が、男女の人造人間を交配させることで優秀な子孫を残そうと企むところから始まります。男爵は、人造人間に接合する男性の首を探しており、使用人のニコラスが売春宿で複数の娼婦と関係を持ったことを知ります。しかし、男爵はニコラスと間違えて、同性愛者の友人の首を接合してしまい、計画は頓挫します。

一方、男爵の姉であり妻でもあるカトリンは、ニコラスと関係を持ちますが、喧嘩別れをしてしまいます。その後、カトリンは男の人造人間がいる地下室へ向かいますが、人造人間は女性の扱いを知らず、カトリンを強く抱きしめてしまい、結果としてカトリンを死なせてしまいます。友人の死を知ったニコラスは地下室へ向かいますが、男爵の使用人であるオットーによって捕らえられてしまいます。しかし、オットーは誤って女の人造人間を破壊してしまい、帰ってきた男爵に殺されてしまいます。そして、男の人造人間は男爵を殺害した後、自らも命を絶ちます。最後に、男爵とカトリンの間に生まれた二人の子供たちが地下室に入ってくるところで物語は幕を閉じます。

この映画は、米国などでは3D上映もされました。また、米国のカルチャーサイトFlavorwireが選出した「史上最高のミッドナイトムービー50本」にも選ばれています。映画評論家の淀川長治も本作を高く評価しており、「人間がどれだけ＜感覚＞＜ショック＞を目に訴えて表現できるか、それをこの監督は試した。しかし一番の見どころは、グロテスクを心してユーモアをたっぷり見せていること」と述べています。淀川は、1977年に自身が解説を担当していた映画番組『日曜洋画劇場』で本作を放送しようと熱意を込めて解説を収録しましたが、その内容から土壇場で放送が中止となり、解説もお蔵入りとなってしまいました。その後、映画自体は深夜枠の『ウィークエンドシアター』で放送されています。

テレビ放送のために日本語吹替版が制作されましたが、権利元が音源を紛失してしまいました。視聴者からの録音を公募しましたが、発見には至らず、2013年発売のソフトには未収録となりました。しかし、その後、音源が発見され、2024年10月2日発売のUHDに初めて収録されることになりました。

『悪魔のはらわた』は、その過激な内容と独特な世界観から、賛否両論が分かれる作品ですが、映画史に残るカルトムービーとして、現在も多くのファンに愛され続けています。

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