悲惨な戦い

悲惨な戦い

「悲惨な戦い」（ひさんなたたかい）は、日本のシンガーソングライターであるなぎら健壱が1974年に発表した楽曲です。この曲は当初「なぎらけんいち」という名前で知られており、エレックレコードからリリースされました。

曲の内容と背景

この楽曲は、架空の大相撲の取り組み中に起こったハプニングを描いたコミックソングとして知られています。ストーリーは、力士が廻しを失い、その結果として恐れおののく様子を描写したユーモアあふれる内容で、聴く者を楽しませます。曲のジャケットにはその力士が片足をあげ、股を閉じている姿が描かれており、このイラストもなぎら自身の手によるものです。

「悲惨な戦い」は、リリース当初から人気を集め、15万枚以上の売り上げを記録しました。ライブパフォーマンスでは、時が経つにつれて曲の歌詞にも変化があり、最も長いバージョンでは独特なアプローチを泥臭さ抜きに披露しています。なぎらは、最長で23分にわたってこの曲を歌った経験があると語っています。

歌詞は雷電と若秩父の対戦を描いていますが、一部のバージョンでは若秩父の四股名が「ハカチチブ」と表現されることもあります。また、この曲は現在のカラオケサービスで楽しまれることもでき、時代を超えて多くの人々に親しまれています。

放送禁止の歴史

この曲の幽黙な内容にもかかわらず、リリース後間もなくして日本相撲協会からのクレームがありました。その結果、放送禁止の「Aランク」に指定され、要注意歌謡曲として扱われることになりました。不浄負けという普段は見られない状況がテーマだったことから、当時のメディアや協会の反発を招いたものと考えられます。

ただし、なぎら健壱自身は、レコーディングの最中から不安を感じていたものの、思わぬヒットに驚いていたことを後に証言しています。実際に彼は、相撲協会からの具体的なクレームがなかったとし、民放連が自主的に規制を設けたのではないかと推測しました。彼は、歌詞に特に罪がありはせず、使う側の意識こそが問題だと述べています。

不思議な放送の経緯

放送禁止となってからも、この曲は多くの場面で扱われました。1990年代には日本テレビでライブ放送されたり、TBSの番組でパフォーマンスされた際には部分的にカットされることもありました。1999年にはフジテレビのドキュメンタリーでノーカットが放映され、2006年にはラジオ番組でフルバージョンが流れました。その後、内容がユーモアに富んでいるため現代では放送が可能になったとされています。

収録曲と関連項目

「悲惨な戦い」には、ライヴ音源も含まれています。収録アルバムには、「葛飾にバッタを見た」や「中毒～ベストアルバム」（1995年）があり、1988年まで放送禁止となるAランク指定が続きました。これに関して、森達也は選曲や判断のバランスに疑問を呈する声もありましたが、その後も「悲惨な戦い」は様々な場面で語り継がれています。

この曲は、時代に関係なく多くのリスナーに愛されている作品であり、今なおそのユーモアのセンスが生かされています。

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