情報管理

情報管理とは

情報管理（Information Management, IM）とは、組織が持つ様々な情報源から情報を収集し、適切に管理・処理を行い、必要な関係者へ効率的に配布する一連の活動を指します。単に情報を保管するだけでなく、その構造化、処理、流通に関する組織的なコントロールを含みます。

情報管理の歴史

1970年代、情報管理は主に紙ベースのファイル管理と同義であり、文書の保管やライフサイクルマネジメントが中心でした。しかし、情報技術の発展に伴い、情報管理はデータ管理を含むようになり、専門知識が必要とされる分野へと変化しました。

1990年代後半には、インターネットやコンピュータネットワークの普及により、情報管理はさらに複雑化しました。ネットワーク管理者が情報管理の一翼を担うようになり、情報管理には専門的な知識と高度な技術が求められるようになりました。

情報管理は、組織にとって不可欠な活動であると同時に、適切なツールやシステムの導入には多大なコストがかかるようになりました。

情報管理の概念

カーネギーメロン大学の研究者たちは、組織における意思決定と情報処理の重要性に着目しました。彼らは、組織を情報処理と意思決定の協調システムと捉え、個人の情報処理能力の限界が意思決定に影響を与えることを指摘しました。

マーチとサイモンは、古典的な経済人モデルではなく、合理性の制約の中で意思決定を行う「管理人」モデルを提唱しました。彼らの研究は、組織の情報処理能力が組織の中核的な能力であることを示し、組織設計戦略において情報処理能力の強化が重要であることを示唆しました。

情報処理能力を強化するための組織設計戦略

ジェイ・ガルブレイスは、組織設計戦略を以下の2つのカテゴリに分類しました。

情報処理の必要性を低減する戦略

環境管理: 組織が外部環境をコントロールし、不確実性を低減させる戦略です。例えば、他の組織との連携や統合により、情報処理の必要性を減らすことができます。
スラック資源の作成: 組織に余裕を持たせ、例外事象への対応能力を高める戦略です。ただし、コストが増加する可能性があるため、他の戦略と組み合わせて使用する必要があります。
自己充足型タスクの作成: タスクを実行するために必要なリソースを部門内に集約することで、部門間の連携を減らし、情報処理を効率化する戦略です。

組織の情報処理能力を増強する戦略

側面的関係の作成: 複数の部門を横断する意思決定プロセスを確立し、情報伝達をスムーズにする戦略です。階層構造に情報を吸い上げるのではなく、現場で意思決定を可能にします。
垂直型情報システムへの投資: 既存の階層構造ではなく、特定のタスクに必要な情報をビジネスロジックに従って処理するシステムを構築する戦略です。

マトリクス組織

側面的関係の概念に関連して、複数の軸で組織を構造化するマトリクス組織があります。機能別や製品別などの軸で組織を構成し、垂直方向と水平方向の間で情報処理と意思決定のバランスを取ります。マトリクス組織は、環境変化への適応を重視する組織形態です。

情報管理学科

情報管理を専門とする学科は、世界各地の大学に存在します。カリキュラムには、情報技術/システム、マンマシンインタフェース、組織行動学、経営学、経済学などが含まれます。

日本の大学における情報管理学科

日本では、以下の大学に情報管理学科が設置されていましたが、多くは名称変更や改組が行われています。

滋賀大学経済学部（情報管理学科からデータサイエンス学科へ改組）
専修大学経営学部（情報管理学科からネットワーク情報学部へ改組）
南山大学経営学部（情報管理学科から数理情報学部へ改組）
朝日大学経営学部（情報管理学科から経営情報学科へ改組）

これらの学科では、経営学、経済学、情報技術/システムがカリキュラムに含まれていました。

情報管理関連用語

データ管理
文書管理システム
ナレッジマネジメント
個人情報管理
経営情報学部
情報ガバナンス

外部リンク

Managing information - a practical guide
"Information Management Body of Knowledge"
情報管理Web
* 情報ガバナンス研究室

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