想い出のロックン・ローラー

アルバム『想い出のロックン・ローラー』の概要

『想い出のロックン・ローラー』、原題『Ex fan des sixties』は、フランスの歌手ジェーン・バーキンにとって3枚目のスタジオ・アルバムであり、1978年にリリースされました。このアルバムは、彼女の内夫であるセルジュ・ゲンスブールが全曲の作詞・作曲を手がけており、特にゲンスブールの独自の音楽スタイルが色濃く反映されています。

アルバムの特徴

このアルバムの最大の魅力は、表題曲である「想い出のロックン・ローラー」です。この曲は1960年代のロック・スターたちへのオマージュとして捉えられ、特にザ・ビートルズなど当時のアイコンに対する敬意が込められています。このアルバムは、単なる懐古主義に留まらず、ニューオーリンズ風のビートやエレガントなポップサウンドなど、実に多彩な音楽的アプローチを見せており、聴く者を楽しませます。

バーキン自身、この表題曲を歌うのが難しいと感じていたと語っています。リズムに当惑していたものの、ゲンスブールは彼女のその状態を理解し切れなかったようです。この曲はフランスで大ヒットを記録し、バーキンにとっては歌手としての地位を確立する契機ともなりました。

CD化と再リリース

『想い出のロックン・ローラー』は、その後幾度かCD化され、日本でも1999年と2011年に再リリースされました。特に2011年のリリースは、ゲンスブールの没後20年を記念したもので、この際に新たにボーナストラックも収録されました。ボーナストラックには、「ジョニー・ジェーンのバラード」や「哀しみの影」などがあります。これらのトラックは、ゲンスブールの真髄を感じさせる貴重な音源となっています。

収録曲の多様性

アルバムには個性的な収録曲が並んでおり、例えば「リップスティック黙示録」や「禁じられたメロディ」など、バラエティに富んだ楽曲が揃っています。中でも「無造作紳士」は、ゲンスブールの友人であるジャック・デュトロンをモデルにした曲で、フランソワーズ・アルディとのコラボレーションのエピソードも興味深いです。また、「気力減退」は、ベートーヴェンのソナタにインスパイアされた作品で、幅広い音楽的視野を提示しています。

メディアでの反響

音楽だけでなく、関連する映画やメディアでもこのアルバムは触れられており、2010年には『ゲンスブールと女たち』という映画が公開され、2011年に日本でも上映されました。この映画はゲンスブールに焦点を当てており、バーキンは震災復興支援コンサートを開催するなど、音楽活動と社会貢献に彼女なりのアプローチを行いました。

まとめ

『想い出のロックン・ローラー』は、音楽的・文化的な影響力を持つ作品として、ジェーン・バーキンのキャリアにおける重要な一歩を示しています。ゲンスブールの才能と彼女自身の個性が融合したこのアルバムは、時代を超えてリスナーの心をつかむ魅力を持っています。

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