愍懐嬪姜氏

愍懐嬪 姜氏（ミンフェビン カンシ）の生涯

愍懐嬪 姜氏（びんかいひん きょうし、朝: 민회빈 강씨、1611年4月18日 - 1646年4月30日）は、李氏朝鮮第16代国王仁祖の息子である昭顕世子の正室です。本貫は衿川姜氏で、右議政を務めた姜碩期（カン・ソッキ）の娘として生まれました。

結婚と人質生活

1627年、16歳で昭顕世子と結婚し、世子嬪となりました。しかし、1637年に李氏朝鮮が清に降伏したことで、彼女の運命は大きく変わります。昭顕世子と共に、清の都である盛京（現在の瀋陽）で8年間の人質生活を強いられることになったのです。

この間、昭顕世子との間に3男5女をもうけました。異国の地での生活は苦難の連続でしたが、彼女は世子妃としての役割を果たし、家族を支え続けたと言われています。

悲劇的な最期

1645年、夫の昭顕世子が謎の死を遂げます。その翌年、姜氏は大きな陰謀に巻き込まれます。昭顕世子の廃嫡を主張していた金自点（キム・ジャジョム）の告発により、仁祖が食べるアワビに毒を入れたという濡れ衣を着せられ、平民に降格させられた上で、実家で死を賜りました。

享年36歳（満35歳没）という若さでした。さらに、彼女の兄弟や息子たちも済州島などへ流刑に処されるなど、一族は悲惨な末路を辿りました。

死後の名誉回復

姜氏の死後、長男の慶善君と次男の慶完君も謎の死を遂げています。病死とも言われますが、仁祖が放った刺客によって暗殺されたという説も根強く残っています。

昭顕世子の弟である第17代国王孝宗の時代から、姜氏の復位を求める議論が起こりました。3代に渡る論争の末、1718年、第19代国王粛宗の時代になってようやく、「愍懐」の称号を与えられ、名誉を回復しました。実に、賜死から72年もの歳月が経過していました。

家族関係

父：右議政 姜碩期
夫：昭顕世子
長女：郡主（1629年-1631年。夭逝）
次女：郡主（1631年-1640年。夭逝）
長男：慶善君（名は栢（石鉄）。1636年-1648年）
三女：慶淑郡主（1637年-1655年。綾昌副尉 具鳳章に降嫁。1男を儲けた）
次男：慶完君（名は石磷。1640年-1648年）
四女：慶寧郡主（1642年-1682年。錦昌副尉 朴泰定に降嫁。5男4女を儲けた）
五女：慶順郡主（1643年-1697年。黄昌副尉 辺光輔に降嫁）
三男：慶安君（名は檜（石堅）。1644年-1665年。男子の中で唯一生き残り、20代まで生存して結婚。長男の臨昌君李焜と次男の臨城君李熀を儲けた。臨昌君李焜（姜氏直系の孫）の系統が少なくとも李氏朝鮮の朝鮮半島支配が終わりを告げ、大韓帝国が滅亡する1910年まで存続している事が記録で確認される）

登場作品

愍懐嬪姜氏を題材としたドラマや映画も多く制作されています。

大命（1981年、KBS、演：イ・ムニ）
馬医（2012年〜2013年、MBC、配役：キョン・スジン）
花たちの戦い -宮廷残酷史-（2013年、JTBC、配役：ソン・ソンミ）
三銃士（2014年、tvN、配役: ソ・ヒョンジン）
* 華政（2015年、MBC、配役：キム・ヒジョン）



愍懐嬪姜氏は、その悲劇的な生涯を通して、李氏朝鮮の激動の時代を象徴する人物として、後世に語り継がれています。

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