愛しい詐欺師 (The Con-Heartist)
『愛しい詐欺師』(
タイ語: อ้าย..คนหล่อลวง、
英語: The Con-Heartist)は、メート・タラトーン監督によるタイのロマンティック・コメディ映画です。ジョークワンフィルムが製作し、GDHが配給を手掛けました。主演はナデート・クギミヤとピムチャノック・ルーウィセートパイブーンが務めます。2020年12月3日にタイで公開され、新型コロナウィルスの状況が改善した時期のタイ映画の一つとして注目を集めました。
あらすじ
物語は、ブリラムに住むイナ(ピムチャノック・ルーウィセートパイブーン)が、50万バーツの借金返済に苦しむ日々から始まります。クレジット会社で働く彼女は、少ない給料のほとんどを借金返済に充て、生活は困窮していました。そんな中、彼女は詐欺師のタワー(ナデート・クギミヤ)に目を付けられます。
タワーはイナに振り込め詐欺を仕掛けますが、彼女は元銀行員の知識を活かして詐欺を見破ります。逆にタワーの弱みを握ったイナは、彼に別の詐欺を持ちかけます。それは、かつてイナから学費を騙し取った元恋人ペッチ(ティティ・マハーヨーターラック)への復讐でした。
タワーは詐欺の計画を立て、イナは協力することになります。彼らは、ペッチが働くコンケーンの旅行会社を舞台に、大胆な詐欺を仕掛けます。ホテルのスタッフになりすましたり、偽の旅行会社を設立したりと、様々な策略を駆使してペッチを陥れようとします。計画は次第にエスカレートし、当初の目的だった50万バーツの借金返済から、300万バーツを騙し取るという壮大なものへと変わっていきます。
イナは、恩師であるノンヌット先生(カタリヤー・メーキントッシュ)を仲間に引き入れます。ノンヌットは中国語が得意で、偽の中国人社長を演じることになります。さらに、タワーの兄を名乗るジョーン(ポンサトーン・ジョンウィラート)も加わり、詐欺計画はますます複雑化していきます。
しかし、計画は順調に進むかに見えましたが、様々なトラブルが発生します。偽の顧客役を演じるノンヌットがペッチに口説かれたり、小切手詐欺が失敗に終わりかけたりと、危機的な状況が続きます。そんな中、タワーはイナとノンヌットを裏切り、金を持ち逃げしようとします。しかし、イナはタワーの行動を予測しており、逆に彼を出し抜くことに成功します。
最後に、イナはタワーを改心させようと試みますが、彼は再び詐欺を企てます。しかし、イナはタワーの計画に乗り、最後の山分け役を自分にすることを条件とします。そして、ペッチから金を奪い返すことに成功します。
物語の結末では、イナは借金を完済し、タワーは詐欺で得た資金で旅行会社を設立します。しかし、ジョーンが詐欺で逮捕され、タワーも窮地に陥ります。イナはタワーに電話をかけ、再会を約束します。そして、二人は刑務所の面会室でジョーンと再会し、物語は幕を閉じます。
登場人物
タワー (ナデート・クギミヤ): ハンサムな詐欺師。読唇術が得意。
イナ (ピムチャノック・ルーウィセートパイブーン): クレジット会社の社員。借金返済に苦しんでいる。
ペッチ (ティティ・マハーヨーターラック): イナの元恋人。旅行会社のマネージャー。
ジョーン (ポンサトーン・ジョンウィラート): タワーの兄と称する詐欺師。
ノンヌット先生 (カタリヤー・メーキントッシュ): イナの恩師。中国語が得意。
サムソン (チャンタウィット・タナセーウィー): ホテルの営業部長。タワーの詐欺に利用される。
制作
GDHは以前から詐欺師についての映画を制作したいと考えており、主要コンセプトはJira Maligulによるアイデアでした。監督のメート・タラトーンは、タイで頻繁に報道される詐欺事件を題材にし、恋愛や友情の要素も盛り込んだ作品にしたいと考えました。
監督はキャスティングにもこだわり、ピムチャノックの演技力や、ナデートの持つ信頼感を評価しました。また、ポンサトーンやチャンタウィットなど、過去に仕事をしたことのある俳優を起用し、作品の完成度を高めました。
音楽
劇中音楽はHua Lamphong RiddimのVichaya Vatanasaptが作曲し、主題歌は3rd Tilly Birdsが作詞、GOT7のBAMBAMが作曲・歌唱を担当しました。
公開
映画は2020年12月3日にタイで公開され、その後、アジア13ヶ国で上映されました。また、2021年3月にはNETFLIXで配信が開始されました。日本国内では、大阪アジアン映画祭で上映された他、U-NEXT、JAIHO、Amazon Prime Videoなどの有料配信サービスで視聴可能です。