愛にイナズマ

映画『愛にイナズマ』

2023年10月27日に公開された日本映画『愛にイナズマ』は、家族の過去や秘密を掘り下げる物語です。監督を務めたのは石井裕也で、主演には松岡茉優と窪田正孝が名を連ねています。この映画は、主人公である末っ子の妹が家族に隠された真実を探る姿を描いています。彼女の母親が20年以上前に失踪した経緯や、父や兄たちが真実を語らない理由に迫ります。

あらすじの概要

映画の中心は、若手映画監督の折村花子です。彼女は「消えた女」というドキュメンタリー映画の制作を始めます。この作品は、自身の母親の失踪をテーマにしており、自らの家族の物語です。助監督の荒川は経験豊かな人物ですが、花子の独自のアプローチを理解できず、業界の常識に囚われた態度を見せます。さらに、彼からのセクハラも問題にされ、花子は悩ましい境遇に立たされます。

そんなある日、花子はバーで舘正夫という男性に出会います。彼は空気を読むのが苦手ですが、その正直さと正義感に引かれた花子は、彼と意気投合します。花子がスカウトした俳優の落合が実は正夫の親友であることが判明し、二人の関係は深まっていきます。しかし、運命は残酷で、花子の降板によって落合は自ら命を絶ってしまいます。

葬儀を終えた後、正夫は花子に全財産を提供しますが、花子は夢を追う自分の気持ちが消えてしまうことを恐れ、受け取ることができません。結局、花子は父の家に戻り、家族との間にある真実を掘り下げようとします。その中で、父の治が余命1年と宣告されていることが明らかになります。

実家に集まった家族は、思い出を共有しながら、母の失踪の真相に迫ろうとします。しかし、父や兄たちは秘密を抱え続け、なかなか本音を語ろうとはしません。ついには、電話に出た男性が、母が数年前に亡くなったことを告げます。

花子は母の真実を知ることにより、家族の絆の重要性を再認識します。母に関する過去が明らかになる中で、彼女自身の内面的な葛藤と成長が描かれます。最終的に、家族は父の遺骨を海に散骨するための旅に出ます。その際、生まれ変わった花子は、映画のタイトルを「消えた女」から「消えない男」に変えようと考えます。

キャストとスタッフ

映画には豪華なキャストが揃っています。本作で主演する松岡茉優は折村花子役を務め、窪田正孝は舘正夫役を演じています。そのほか、彼らの兄弟役を池松壮亮や若葉竜也が担当し、多彩な配役が家族の物語に厚みを与えています。

スタッフ陣も充実しており、監督・脚本の石井裕也は本作でいくつかの賞を受賞しています。主題歌にはエレファントカシマシの「ココロのままに」が使用されており、映画の感情に寄り添った楽曲となっています。

映画の評価

『愛にイナズマ』は、公開後多くの映画祭で高く評価されました。第45回ヨコハマ映画祭では日本映画ベストテンにランクインし、石井裕也監督の功績が称えられました。また、松岡茉優の演技はエルシネマアワードでも高評価を得る結果となりました。

家族の愛の形や過去との向き合い方を丁寧に描いたこの作品は、観客に強いメッセージを残します。

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